坂口博信氏、『ファイナルファンタジーVI』がシリーズのなかで“最も完成度が高い作品”だと考え明かす。最後のピクセルアート主体な『FF』だったので

FINAL FANTASY VI ピクセルリマスター

『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズの生みの親として知られる坂口博信氏は、『ファイナルファンタジーVI』を「FFシリーズの中で最も完成度が高い」と考えているようだ。海外メディアInverse(英語)のインタビューで語っている。

海外メディアInverseは現地時間8月29日、坂口氏にオンライン上で実施した独占インタビューの記事を公開。その中で、坂口氏は自身が手がける『ファンタジアン』や、37年に及ぶ自身のキャリア、そして『FF』シリーズの振り返りや今後の展望などを語っている。

その中で坂口氏が語ったところによると、「(坂口氏自身が)思うに、最も完成度が高い『FF』シリーズという観点でいえば、『ファイナルファンタジーVI』がそれに一番近いと思う(In terms of the FF that I think is the ‘most complete; I believe Final Fantasy VI comes close)」と述べている。同氏がそう語る理由としては、『ファイナルファンタジーVI』がすべてのビジュアルにピクセルアートを使用した最後の『FF』であったからだという。

続けて坂口氏は『FF』らしさにも言及。同氏はこの観点については広く議論されているテーマであることは理解しているとしながらも、「ストーリーと世界観」の2つの重要な核であると語っている。 この2つは『ファイナルファンタジー』には欠かせないもので、すべての作品に共通するものであるという。

『FINAL FANTASY VI ピクセルリマスター』


また、そうした世界観についても、「現在の出来事とゆるやかに結びついた、何らかのテーマ的要素が含まれている必要がある」としている。世界観は架空のファンタジー世界でありながらも、そこに何らかのテーマや、プレイヤーに異なる視点や示唆を与えるプロンプトが必要だと語っている。

なお坂口氏は自身の今後についても言及。「現在の活動は(坂口氏が設立した)ミストウォーカーと密接に結びついているので、もし自分が引退すると決めたら、おそらくミストウォーカーはほとんど活動しなくなると思う」と同氏は述べている。しかし「自分はとても気まぐれな人間なので、たとえばミストウォーカーが2年間休止したあとに“実はまた何かやりたいと思っているんだ(You know what, I want to do something again)”と言うかもしれない」とも。

そんな『FF』シリーズの生みの親である坂口氏の考える「最も完成度の高い『FF』」と「『FF』らしさ」が明かされた、興味深いインタビュー内容となっている。なおミストウォーカー手がける最新作『FANTASIAN Neo Dimension』発表時の坂口氏のコメントでも、2021年に発売した『FANTASIAN』は「引退作」かもと思い制作したと語っているが、同氏の2023年の抱負によると「新作用にシナリオ執筆を開始」したとも語っている(ファミ通.com)。坂口氏のXアカウントでも、以前より『FF14』をプレイしたり、新作である『Black Myth: Wukong(黒神話:悟空)』を遊んでいる様子など、還暦を迎えてもまだまだ健在のようすがうかがえる。今後の同氏の活動にも注目したいところ。