NIGORO 楢村匠に訊く 2[前編] TGS振り返り

東京ゲームショウではインディーブースにて『LA-MULANA2』で強烈な存在感を放ち、最終日には INDIE STREAM でも先頭に立った NIGORO 楢村匠氏に再びお話をうかがいました。テーマは掲題のとおり、TGS と『2』について。まずは、あらたな試みのあった TGS の話から。


 

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―まず、TGS についてざっくりと。いかがでしたか?

いきなりですね(笑) ざっくりと……そうですね。事前に色々と開催の内容については情報があり先に知ることができたので、「だったらこういう形で参加すれば有意義じゃないか?」とあらかじめ考えて会場へ行きました。ですから失敗だったということは絶対にありません。なにより、実際にお客さんと対面でナマの交流ができたのは収穫でした。また、イベントに呼ばれたこと自体も”繋がり”の強化になりました。

 

―具体的な数として、どれくらいの数の来客者がいらっしゃいましたか?

僕自身がブースから離れることが結構あったので、どのくらいだったかはっきりとは判りません。でも、2日で100人くらいはいらっしゃったかな。

 

―『LA-MULANA』ファンが100人来たと。

そう。よくあんな端っこのブースに来てくれたなと思います。それと、とくに『LA-MULANA』が目当てではないという方も立ち寄って遊んでくださったりもしていたようです。

 

―なるほど。前回のインタビューの際、「インディーフェスに来るお客さんはインディーブースをスルーするのではないか」と危惧されていましたが、その点はいかがでしたか?

そこも完全に観察していたわけではないのですが、たぶんその通りになったと思います。前もって聞いていたのと当日の状況とが食い違っていて、ステージの向きが完全にインディーブースに背中を向けていたんです。階段から出やすい位置になっていたんですよ(笑) だから、インディーフェスを観てそのまま帰ってしまったかケースが多かったでしょうね。それと、実況プレイヤーのファンの女性なんかはあそこに張り付いてずっと動いていなかったっぽいです(笑) 単純に「ああ、今はこういう流れがあるのだ」と感心して見ていました。

 

―インディーフェスで集まった人をあまり引き寄せることはできなかった?

そうですねえ、『LA-MULANA』の紹介でステージに上がりましたけど、5分でどうこうできるゲームでもありませんから。でも、流れた紹介 VTR を観てブースに流れた方も1人か2人はいて、その方は今ニコニコで実況動画を上げてくれていますね。そういう流れはあったので、あの中で何人かは『LA-MULANA』を覚えてくれた方はいらっしゃったかとは思います。

 

―やはりディープな人を惹きつけているという感じでしょうか?

そうでしょうね。

 

―では、TGS インディーブースの不満点について伺えますか?(記者笑)

笑いながら聞かないで(笑) 不満点……そうですねえ……。出展費用は致し方ないとして、まず問題は TGS 会場まで行く費用そのものです。僕たちは関西に住んでいますから、交通費と滞在費だけでもばかになりません。それにブースを構えるための準備費用が加わります。

それらを踏まえて、あの”離れ”のスペースで、のべ100人程度が来るだけというのは少々割に合わない感がありました。インディーブースが本会場にあれば、もっと人が来てもっと有意義になったかなとは思います。「だったらこれくらいの費用をかけてでも行く価値はあるな」となるでしょう。

(注:東京ゲームショウ一般公開日において、インディーブースは本会場から徒歩数分程度離れたホール9におかれていた。なお、ビジネスデイには本会場にあった。)

重箱の隅をつつくようなことを言えば、インディーブースを”離れ”に設置しておいて、ゲームには直接関係のないエナジードリンク MONSTER の無料配布が本会場のど真ん中なんだ、とかね(笑) ゲームでやってるうちらは端っこかい!という気持ちがあったことも否定できません。

ビジネスデイではインディーブースは本会場にありました。ではあそこは一般公開日はどうなっているのかというと、休憩スペースになっちゃってるんです。「だったら何故!」と思いますよやっぱり。まあ、ステージがホール9にできたからという都合もあるのでしょうけれど。

 

―しかし、インディーブース全体を見ると存外盛況だったように感じられましたが? 来客は間断なかった印象があります。

さすがに TGS というネームバリューと集客力はあります。端っこの方とはいえ、人が来ていたことは間違いありません。

 

―本会場の方に学生作品や海外の個人開発らしき作品の展示がありました。あれが独立しておりインディーブースと区別されていたことについて、何かご存知のことや思うところはありますか?

あの辺は昔から TGS にあったコーナーです。学生作品については、TGS 自体がもともとコンシューマの祭典のようなもので、ちゃんとおカネを持っている大きな企業が宣伝として参加するという側面が強く存在しています。そうした”ルール”があるので、専門学校もどこもかしこも出ているわけではなく、大手、ようはおカネがあるところがブースを持って展示できているのです。

インディーは今年初めてできたから、本会場にはいられなかったのだろうなと内部事情を予測しています。

 

―どちらかというとインディーよりに思えるような学生作品などがまとめられておらず、いささかちぐはぐな印象がありました。TGS 運営サイドのオーガナイズの問題でしょうか?

噂レベルですけれど、インディー自体がたぶん理解されていないんです。インディーのために動いてくださった方がいるというのは前回もお話しました。少数でもいらっしゃったから実現した、それは有難いことです。でも、大本の運営がインディーゲームについて造詣が深かったとは言いがたい部分があります。「同人」と「インディー」についても理解できていない可能性があります。版権物とか二次創作とかがいっぱいあるんだろうという程度の認識だったかもしれません。だから、本会場から離されたのではないでしょうか。

たとえば、ミクを使ったゲームをインディーブースに展示していて、その向かいのセガのブースで『Project DIVA』が置いてあると話がややこしくなるでしょう。そうした懸念点があったことはわからないでもありません。

 

―では話を前向きにかえましょう。TGS を回ってみて楢村さんが「これはすごい」と感じた展示などはありましたか?

本会場自体にそれほど興味を持っていなかったのですが、それでも数年前と比べてみると PS4 のブースは盛り上がっているように見えましたね。新機種発表ということもありますし、インディーを扱っているブースもありましたし。あそこは寄って楽しかったです。

 

―インディーブースにて、他のインディー作品で何か注目したものはありますか?

それが残念ながら回って遊ぶ時間がなかったんです。ただ、ボクセルシューティング系タイトル『Voxatron』はどうしてもプレイしたくて、開演前にやらせてもらいましたね(笑)

他にも遊びにいきたかったのですが、お客さん対応をしているだけで終わってしまった感じです。本来であれば、ああいう場で集まったチームが仲良くなって、また違う場所で出会ったりするのが理想的なのですけれど。

 

―お客さん対応というのは、海外のメディアのインタビューなどですか?

いえ、一般のお客さんです。遊び方を説明したりする必要があります。それに、僕に会いにきてくださる方もいらっしゃいます。

インディー=小規模です。出展スタッフも製作者ばかりです。イコール、動き回れない。ブースに張り付く必要性があったりもします。

 

―では、遊んで回る時間がないジレンマがあった?

そういう意味では、対応に苦戦するくらい人が来てくれたということでもあります。参加した意義があったというものです。

 

―もし来年 TGS でも同様のイベントが開催され参加されると仮定した場合、「ここだけは改善してほしい」というポイントはありますか?

僕がわりと冷めている方ですので、さっきも言ったように運営の都合で会場が別になるのは「しょうがない」で済ませることもできます。だから、来年は絶対本会場でやれ!だなんて要望はありません。

しかし、せめて運営サイドがインディーについて理解を深めておいていただきたいところです。そうすればだいぶ違うものになるでしょう。

 

―その点をたびたびおっしゃっていますが、よほど厳しい何かをご体験されたということでしょうか?

ありました。ここでは明かせないようなことも多々。まあ、昔のパソコンのフリーゲーム程度に思われていたのでしょう。

 

―TGS 大本営サイドの問題ということですか?

「インディーを今とりあげなきゃマズいよ」と意見してくださった方が数人はいらっしゃったのでしょうけれども。僕たちは個人で趣味としてやっているレベルではないのです。おカネを出してまで出展したわけですから。本気で売ろうとしてやっているのです。

皆が困っていたことがあります。展示場所の骨組みです。ポスターが貼れないのです。それに、ああした形のブースというのは本来であればミドルウェア向けなどの商談スペースです。並んで遊んでいただくという形ではありません。1台モニタを置く以上のことができないのです。もっと遊んでもらうためのブースになってほしいです。ただ、インディーブースの出展料が他と比べたら格安なのだから諦めろと言われてしまえばそれでおしまいです。

どうせ開催するならばインディー側の意見を聞いていただければもっと良くなったのではないかな、という思いはあります。

 


 

『LA-MULANA2』のコンセプトへ続きます。

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