NVIDIAのCEOが「グラボの値段はもう下がらない」と明言。我慢しても高いまま

 

NVIDIAは9月19日よりカンファレンスイベント「GTC 2022」を開催していた。新型GPUであるGeForce RTX 4090/4080がお披露目されたほか、同社CEOによる基調講演や質疑応答なども実施。そのなかで、「もうGPUの価格低下傾向はおわった」との、ユーザーにとって悲しい見通しが語られたようだ。海外メディアDigital Trendsなどが伝えている。


NVIDIAはGeForceシリーズのGPU(およびグラフィックボード)などでお馴染み の半導体メーカーだ。同社が開催したGTC 2022では、新アーキテクチャAda Lovelace採用GPU「GeForce RTX 4090」および「GeForce RTX 4080」が発表。RTX 4090が10月より、RTX 4080が11月より発売予定と明かされた(関連記事)。スペックや新技術などが注目を集めるなか、とりわけユーザーらにインパクトを与えたのはその価格だった。率直にいって、高いのである。

まず、RTX 4080については、国内向け価格としてはメモリ12GBモデルが16万4800円から、16GBモデルが21万9800円からとされている。そしてRTX 4090については、29万8000円からとされている。30万円に肉薄するかなりの高額だ。最新のグラフィックボードの価格が高いのは当然ではある。一方で、GeForce RTX 30シリーズの発表時には、「GeForce RTX 3090」の価格は22万9800円からと設定されていた(関連記事)。単純に比較はできないものの、上位モデルの価格がぐんと飛躍した感覚は否めない。

さらにGTC 2022では、そうしたGPUの価格について「値下がりを期待しない方がよい」との見解が、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏自らの口から語られる一幕があったようだ。Digital Trendsによれば、Huang氏が語ったのは、同イベントのメディア向けQ&Aセッションでのこと。別の海外メディアであるPC WorldのGordon Ung氏が、GPUの価格設定に関する質問をHuang氏に投じたようだ。そして質問を受けた同氏が語ったのは「GPUが安価になっていくというのは、過去の話になる」との見解だったとのこと。

Huang氏は回答としてまず、「ムーアの法則は死んだ」とコメントしたそうだ。ムーアの法則とは、「1.5年から2年で、集積回路のトランジスタ密度が倍となる」などの指標で知られる予測だ。つまりHuang氏は「ハイペースな技術向上により、高い性能のハードが安価に手に入りやすくなる」という希望的観測を否定している。続けてHuang氏は、半導体素子製造用のシリコンウェハーの価格が上昇してきているとも言及している。そうした材料費の上昇も、価格に反映されるということだろう。

集積回路の性能向上のペースダウンと、材料費の高騰。それらにより、GPUの価格はかつての傾向より高価になっていくだろうというのが、Huang氏の見解のようだ。当然、今後もパーツの世代交代などにより、GPUなどの価格あたりの性能の向上はゆるやかに続いていくと見られる。ただし、以前のようなペースでの価格低下は期待できないということだろう。一方で同氏は、近年における899ドル/1599ドルといった価格帯の同社GPUよりも、同じ価格帯である今回の40シリーズGPUの性能の方が「桁外れによい」と強調。新しいAda Lovelaceアーキテクチャの優位性をアピールしている。世代交代により、しっかりと値段に見合った性能へと進歩はしているということのようだ。

Jensen Huang氏

NVIDIAの長たるHuang氏の見解は、ハイエンドPCを求めるPCゲーマーにとってはかなり悲しい内容だろう。一方で、GeForceの対抗馬たるRadeonを手がけるAMDも、新型GPUの発表に向けて備えている。8月には新アーキテクチャRDNA 3を採用した新型GPUの動作デモが披露。先日には同社重役が、11月3日の新型AMD GPUの正式お披露目を示唆している。こうした様相のなかでの、GPU価格競争のゆくえも見守りたい。