スクウェア・エニックス、EidosとCrystal Dynamicsを売却。Embracer Groupに約400億円で

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スクウェア・エニックスは5月2日、Crystal DynamicsとEidos Interactive、および両社の保有する一部IPをEmbracer Groupに売却すると発表した(リンク先はPDF)。株式譲渡契約となる。2022年4月27日開催のスクウェア・エニックス取締役会にて、同社の代表取締役 松田洋祐氏へ決定の権限を一任することを決議。諸条件が整ったことから本日、本株式譲渡契約の締結に至ったという。売却額は約400億円(3億ドル)にのぼるという。
【UPDATE 2022/5/2 16:10】
現在の為替レートを鑑みて、買収額の日本円を約300億円から約400億円へと修正


Eidos Interactive(以下、Eidos)は、イギリスのゲーム会社だ。『Deus Ex』『Thief』シリーズなど、さまざまなタイトルの販売を手がけてきた。Crystal Dynamicsは、Eidos傘下のゲーム開発スタジオ。『トゥームレイダー』シリーズなどを手がけてきた。Eidosは、欧州市場拡大を目論むスクウェア・エニックスによって、2009年より買収。子会社のCrystal Dynamicsとあわせてスクウェア・エニックスの傘下となった。

しかしこのたび、EidosとCrystal DynamicsはEmbracer Groupへ売却されることとなった。Eidosはというと、かつて看板タイトルとして誇っていた『Deus Ex』『Thief』シリーズは2010年中期に新作を出したものの、そのまま音沙汰なし。『ヒットマン』などもかつてパブリッシングしていたが、開発元のIO Interactiveが独立し、現在は関わりをなくすなど、買収時と比べると豊富なIPラインナップを生かせていなかった。なお、『マーベル ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、高く評価されたものの、売上は期待値を下回ったとスクウェア・エニックスの決算発表で報告されていた。

最近では、EidosはCrystal Dynamicsと共に新作を開発していたが、『Marvel’s Avengers (アベンジャーズ)』も同様に、期待値を下回ったとスクウェア・エニックスの決算発表で報告されており、ヒット作品は生まれていなかった。松田洋祐氏からたびたび不振の原因として、個別に言及されていたEidosおよびCrystal Dynamicsは、スクウェア・エニックスから離れるようだ。また、Square Enix MontréalもEmbracer Group傘下になるという。

Embracer Groupによる買収額は3億ドル(約400億円)にのぼる。取引は2022年第3四半期に完了されるとのこと。Embracer Groupは、THQ Nordicの親会社である。昨今ではさまざまなスタジオを買収しており、『ボーダランズ』シリーズなどを手がけるThe Gearbox Entertainment Companyもまた、Embracer Groupの傘下となった。現在のEidosとCrystal Dynamicsの状況を見かねてか、大規模な買収に踏み切ったようだ。

スクウェア・エニックスは今回の売却について、事業構造の最適化や、中核事業の成長や新規事業の立ち上げを理由にあげている。今後同社が保有する開発スタジオは、日本国内の各スタジオのほか、海外のSquare Enix External Studios、Square Enix Collectiveになるという。海外スタジオへの投資を、国内に回すということだろう。なお、『Just Cause』シリーズ、『アウトライダーズ』、『Life is Strange』シリーズは、スクウェア・エニックスで今後保有するとのことだ。




※ The English version of this article is available here

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