『エルデンリング』“ボスのディレイ攻撃”がエグすぎてネットミーム化。世界から悲鳴、ねっとり焦らしテク


エルデンリング』にて、敵が攻撃を遅らせる「ディレイ」が本作プレイヤーたちの話題にのぼっている。プレイヤーを焦らしに焦らすボスのいやらしい素振りは、世界中の本作プレイヤーのなかでミームと化しているようだ。なお本稿には一部ボスの攻撃パターンについての記述があるので、それらを知りたくない方は注意してほしい。

『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけた新作アクションRPGだ。本作は広大なオープンフィールドでの冒険が楽しめる一方で、戦闘の難易度は高い。同スタジオ過去作のゲームプレイを受け継いでいるためだ。敵の攻撃力は高く、適切な回避や防御をしなければ、その辺りをうろついている犬でさえプレイヤーはたやすく餌食になる。相手がボスであれば尚更で、一撃ごとに生死をかけた判断を迫られるのだ。メキメキ鍛えたキャラと霊体召喚による数の暴力で押すことも可能となっているものの、基本的にはローリング・ジャンプ・ガード・反撃といった選択肢を適切に繰り出すか、あるいは死が待っている調整だ。


本作の敵たちは攻撃の前に、なんらかの予備動作を入れてくる。大威力の攻撃の前には、「大きく武器を振りかぶる」「派手なエフェクトと共に力を溜める」などの比較的認識しやすい予備動作を挟んでくるのもしばしば。プレイヤーはそうした動作を見て回避のタイミングなどを見極めるわけだ。しかし、敵は迂闊な回避を繰り返すプレイヤーに対しては、敵側も対策を練っている。それが「ディレイ」と呼ばれる行動である。ディレイとは、ボスなどが予備動作のままプレイヤーを“焦らし”、ややタイミングを遅らせて攻撃を放ってくる行動のことだ。

ディレイの代表的な例として、ボスのひとりマルギットの切り下ろしなどがある。武器を大上段に構えたあと、全力で直上から叩きつけてくる攻撃だ。比較的すぐ切り下ろしてくる場合もあれば、やたらと長時間武器を構えたままプレイヤーを追いかけ回してくることもある。プレイヤーがビビって迂闊にローリングをすれば、「待ってました」とばかりにローリング終了後に脳天からペチャンコにされる場合もある。プレイヤーの出方を伺い、焦らして確実に仕留めるような行動が、ディレイなのだ。マルギットと相対したプレイヤーたちにとっては印象深い、あるいは心の傷になっている一幕ではないだろうか。


そして、本作ではこのディレイを多くの敵が利用してくるのだ。ソウルシリーズでもディレイを活用してくる敵はいたものの、本作の敵におけるディレイ普及率は段違い。多くのプレイヤーがディレイの恐ろしさと厄介さを味わったためか、SNS上などではもはやミームになりつつあるのだ。Redditの本作コミュニティでは敵のディレイをネタにする投稿も散見され、多くのユーザーによる反響が寄せられている。攻撃パターンを文字で表し、回避の目安であるとした投稿がその一例だ。投稿者は敵の攻撃テンポを「1—2—3456789101112————–13」などと表現している。ディレイで焦らしつつ、怒涛の猛攻を仕掛けてくる敵の攻撃を(誇張しながらも)コミカルに描写しているわけだ。


同スレッドには、ほかの厄介な攻撃パターンがあるとのユーザーの声も寄せられている。あるユーザーは特定ボスについては「123456789—101112131415—16171819-20」と絶え間ない非情の連撃があると主張。また、複数のユーザーが指摘しているのが「———————-1」の存在だ。マルギットの切り下ろしのような、長すぎる予備動作から突如繰り出される一撃である。さらにマルギットについては「—————————–」さえしてくるとの意見も寄せられている。つまり、焦らすだけ焦らして何もしないパターンだ。悪い男である。実際にこのパターンの様子を収めた動画もあり「かっこいいダンスムーブみたい」と表現されている。こちらは明確に力を溜めるパターンとは別のモーションと見られ、マルギットの焦らしテクの豊富さも見て取れる。


ディレイについては国内Twitter上でも話題にのぼっており、「エルデンリング ディレイ」で検索してみると、多くのプレイヤーが苦しんでいる様子がわかる。また、国内にもコミカルにディレイを表現する者もおり、デザイナー・漫画家の西尾ナノラ氏がマルギットの“ローリング狩り”の様子を4コマ化。ユーザーの反響を呼び、日本語・英語での共感の声が多数寄せられている。


また、Redditでは『DARK SOULS III』にてディレイを駆使し、多くのプレイヤーを泣かせた強敵「無名の王」への言及も見られる。「ここまで遭遇した『エルデンリング』のボスの全員が無名の王みたいだ」として本作のディレイ普及率に言及し、忍耐の大切さを解くプレイヤーもいる。また、「無名の王に苦戦するプレイヤーを見たフロム・ソフトウェアが、“もっと絞ってやる”と思ったに違いない」とする旨のミーム画像なども投じられており、本作のディレイ普及が無名の王に起因すると信じるプレイヤーは少なくないようだ。

固有のボスとしては、「星砕きのラダーン」も、厄介な攻撃パターンの持ち主として挙げられている。アニメ画像にセリフをあてた投稿では、近接武器ビルドプレイヤーがラダーンに「いつ攻撃すればいいんだ」と聞いたところ、「そこが素晴らしいところなんだ、隙はない」と無情に言い返されている。同スレッドにはラダーンに苦戦したプレイヤーたちの声も寄せられており、ディレイを含めラダーンの高威力・広範囲の猛攻が、近接ビルドにとって鬼門である様子がわかる。ラダーン祭りの苦しみをミームとすることで、過酷さを笑いに昇華しようという思いもあるのかもしれない。

ほかにもディレイや攻撃パターンに関するミーム投稿は数多い。「ローリングしようがしまいが攻撃を食らう」とコミカルに表現した画像や、ドラマのキャラクターの神妙な表情を抜粋し「ディレイの間待ち続ける俺」とする投稿など、複数ユーザーがディレイに対処する難しさを思い思いに表現している。また、動画プラットフォームbilibiliでは、アジア圏ユーザーが現実で『エルデンリング』を実写再現する動画を投稿。連続ローリングの末にディレイ攻撃にあえなくやられる姿などを見事に表現している。同動画は英語圏含む世界中のユーザーに拡散され笑いを誘っているようで、“『エルデンリング』あるある”が世界共通言語となっている様子がわかる。


プレイヤーたちを焦らしに焦らし、そして泣かせるディレイ。またディレイに限らず、本作のボスたちは苛烈な攻撃を数多くもっている。それらに対処する褪せ人たちの苦悩は世界共通のようだ。こうした苦しみを共有し笑い合うことも、『エルデンリング』の楽しみのひとつかもしれない。ボスに苦戦した時には、冷静さと観察眼をもって看破するか、どうしても駄目そうなら鋼の肉体と強力な戦技、そして霊体召喚に頼るのもいいだろう。それぞれ思い思いの方法で、ボスたちを乗り越えてほしい。





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