国産寿司食い無料アクション『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』が注目浴びる。結構しっかり遊べる


国産アクションゲーム『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』が、国内SNS上でにわかに注目を集めている。同作は、開発者本人が「くそゲー」と揶揄し、奇妙なコンセプトをもつ作品だ。一方で、アクションゲームとしてきちんと作り込まれた作品でもあるようだ。

『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』は、昨年12月29日に配信開始されたPC向け3Dアクションゲーム。タイトルのとおり、主人公は寿司を食べないと死ぬ。そのため、止まると死んでしまうマグロのごとく、ステージ内を駆け抜け寿司を食い漁らなければならないのだ。チープさを感じるグラフィックとは裏腹に、本作はフルボイスとなっている。ゲームを開始するや否や主人公が「寿司!!美味いぜ!!」などと絶叫するので、筆者は反射的に「うるさい!!」と叫び返してしまった。なお、この主人公は喋る時は基本的に絶叫する。しかもボイスの種類も豊富だ。


本作のゲームプレイは至ってシンプル。画面上部には寿司ゲージが表示されており、これがなくなると主人公は死ぬ。プレイヤーはゲージを絶やさぬように寿司を食べながら「規定数の寿司を食べる」「特定の寿司を規定数食べる」「ゴール地点まで到達する」などの課題をクリアしていく。ステージをクリアするごとに寿司ソウル(Sushi Soul)が溜まっていき、新たなステージがアンロックされていく仕組みだ。ゲームの進行に応じて新エリアなども開放され、多彩なロケーションで寿司が食べられる。また、寿司ネタもいやにバリエーション豊かだ。しかし、すぐ食うのでゆっくり見ている暇はない。

『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』は、リリース後にSNS上で大きく話題となった。弊誌にも寄稿するライターのロッズ氏が1月8日、同氏のTwitterアカウントにて本作を紹介したのだ。紹介ツイートは2万6000件を超えるリツイートを集め、ユーザーから爆笑と困惑の反響が寄せられた。


ここまでの説明を見たところ、本作について「一発ネタ」のような印象を抱かれるかもしれない。しかし、本作は意外にもアクションゲームとしてしっかり成り立っているのだ。まず、操作性はややぎこちない部分もありつつ、慣れるとスイスイと寿司を食える。一方で、操作ミスによるタイムロスが痛い調整となっており、程よい緊張感を保たせてくれる。また、寿司ゲージの減り方やレベルデザインも絶妙だ。後半ステージにいくほど難易度が徐々に上昇し、死亡寸前で寿司をゲットして嬉しくなってしまうシーンなども頻発する。要所では物語を伝えるやけにきちんとしたカットシーンもはさまり、寿司を食うモチベーションを高めてくれるのだ。突き抜けたコンセプトとは裏腹に、プレイヤーが楽しめるようきちんと作り込まれた作品だといえる。

『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』の質の高さについて、国内ゲーム開発者であるニカイドウレンジ氏が自身のTwitterアカウント上で語っている。同氏は、本作のゲームサイクルがきちんと設計されており、バランス調整されているとコメント。適切な演出やゲームプレイの変化および、基本システムの秀逸さを称賛した。さらに、続くツイートでさらに詳細な分析を述べている。本作を遊んだ筆者としても納得の解説である。

https://twitter.com/R_Nikaido/status/1481637374584975364


『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』を開発したのは、国内ゲーム開発者であるただすめん氏。同氏はかねてより、流れる筋骨隆々の男性をつまんで集める『流しマッチョメン』や、絵文字顔の気持ち悪いキャラが迫るホラーゲーム『PIEN-ぴえん-』など、アイデアをそのまま形にしたような作品を世に出している。個性的な作品たちは国内SNSなどで話題にのぼることもしばしばだ。


そして留意しておきたいのは、ただすめん氏が長期にわたってゲーム制作をしている点だ。同氏は2007年より個人サイトでFlash製アニメなどを公開している。また、後にはFlashゲームやブラウザゲームにも手を伸ばし、多数作品を世に出している。自身の作品を「くそ」と標榜し、突飛なコンセプトを押し出すただすめん氏。しかし、見方を変えれば同氏は実績ある開発者なのだ。『そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』の評価も、同氏のゲーム制作の手腕ゆえだろう。同氏は現在、新作“くそ”ホラーゲームを開発中とのこと。どのようなコンセプトとなるのか期待したい。寿司は出てくるだろうか。

そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!』は、ただすめん氏の個人サイト「くそいサイト」でフリーゲームとして配信中。対応プラットフォームはPC(Windows10)だ。なお、本作は機械翻訳による英語ローカライズにも対応予定とのこと。今後は世界中の人々が寿司を補給することだろう。




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