PS4『Days Gone』開発者「売上は800万本じゃないかも」と明かす。トロフィー取得数からの推測だけど自信満々


ゲーム開発者のJeff Ross氏は1月7日、YouTubeにおけるインタビューで自身の手がけた『Days Gone』について語った。同氏は先日、『ゴースト・オブ・ツシマ』の売上800万本突破の報を受けて「『Days Gone』も800万本売れた」とSNS上で苦言を呈していた。しかし、今回はそのデータの正確性に疑問符がつく発言をしている。
 

 
『Days Gone』は2019年、PS4向けに発売された1人プレイ用ゾンビサバイバルゲーム。同作は後にPC版としても展開され、Steamでは2万件に近いユーザーレビューを集めた。評価も「非常に好評」ステータスとなっている。一方で、PS4版リリース当時には不具合などの指摘も相次ぎ、特にユーザーからの評価は低迷の傾向があった。現在の評価に至るまで、紆余曲折を辿ったタイトルなのだ。

そして、1月6日は同作のゲームディレクターを務めたJeff Ross氏が、自身のTwitter上でとある苦言を呈していた。同氏は、『ゴースト・オブ・ツシマ』売上800万本突破が報じられるのを取り上げ、「『Days Gone』も800万本売れたのに、扱いが違う」と吐露したのだ。しかし、同作の売上本数についてはソニーからの公式発表は見当たらず、あくまでもRoss氏の主張だった(関連記事)。つまり、その根拠については不透明な状態だったのである。そして今回の放送でRoss氏は「売上本数はトロフィー取得データなどから推測した数字である」とコメント。つまり、同氏の主張するデータは必ずしも正確ではないと打ち明けたのだ。
 

 
Ross氏が姿を見せたのは、初代『ゴッド・オブ・ウォー』のディレクターを務めたことで知られるDavid Jaffe氏のYouTubeチャンネルだった。放送では、Ross氏とともに、『Days Gone』にてライター/クリエイティブディレクターを務めたJohn Garvin氏が出演。なお、両氏とも昨年には同作開発元Bend Studioを離れている。

問題の発言がおこなわれたのは、動画の2時間17分25秒ごろ。同氏は売上800万本とするデータの根拠について「『Days Gone』が売上500万本を突破した際の“関連データ”との関係性から割り出した」と言及。根拠として、かつてIGNが運営しており現在はサービスが終了しているゲームデータベース「GameStats」のトロフィー取得数データを参考にしたと述べた。つまり、同氏はトロフィーの取得数から“売上800万本”との数字を推測したと見られる。

この数字は正確とは考えづらい。トロフィーについては中古品でのプレイでもアンロック可能だ。同氏は参考にしたデータについて、『Days Gone』のPS Plusフリープレイ入り前のデータだと語っている。しかし、同作は発売ちょうど1年半頃となる2020年10月には、サブスクリプションサービスPS Now入りしている。Ross氏の証言の曖昧さもあり、『Days Gone』トロフィー獲得数と売上の相関関係は不確かさを増す。

また、『ゴースト・オブ・ツシマ』との比較としても、『Days Gone』は廉価版もリリースされており、大幅セールなどもしばしば実施されていた。そのため、セールス面でも同等だったとは考えづらい側面がある。Ross氏は売上本数について「実際はもっと少ないかも知れないし、多いかもしれない」とあくまで推測であることは認めつつも、インタビューの後には「俺は自分の割り出した数字を信じる」との旨をツイートしている。
 

 
『Days Gone』の売上本数に疑問が投じられた一方で、インタビューではRoss氏の「800万本売れた」ツイートの真意も語られた。同氏は、ソニーから売り上げデータをまったく知らせて貰えなかったことが不満だったという。また、具体的なデータが手に入らないにも関わらず、上層部から「ゲームが売れておらず続編も作れない」とコンスタントに告げられていたと主張している。つまり、不透明でフェアではない環境だったと訴えているのだ。また、該当のツイートで言及していたマネジメント層(Local studio management)についても、あくまでもスタジオの上層部であり、必ずしもソニーから直接「売れていない」と告げられたわけではないと伝えている。つまり、同氏の発言はなにかと推測が根拠となっていたわけだ。

いずれにせよ、Ross氏は話題を呼んだツイートについてまったく後悔はしていないそうだ。ただ、一部コミュニティに「『ゴースト・オブ・ツシマ』を否定した」と受け止められた点については後悔の念を述べている。同氏は、『ゴースト・オブ・ツシマ』は素晴らしいゲームであるとし、同作開発元のSucker Punch Productionsは初作以来から好きだとコメント。同作を貶す意図はないと改めて明らかにした。

Ross氏の『Days Gone』に対する思い入れは強い。同氏は開発元を離れた現在でも、自身のTwitterアカウントで頻繁に同作関連のリツイートをしたり、ファンとの交流にも積極的だ。作品を愛するあまり、推測を自信満々に告げてしまった面もあるだろう。とはいえ、Ross氏の語りについては、ある程度話半分に聞いたほうがよさそうである。

『Days Gone』はPC(Steam/Epic Gamesストア)およびPlayStation 4向けに発売中。