『天穂のサクナヒメ』開発者、5メートルの巨大稲穂をあっと言う間に開発してしまう。現実のニュースネタを3日で形にする軽快フットワーク

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マーベラスが2020年11月12日に発売した稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』。本作を企画・開発したゲーム制作サークルえーでるわいす代表のなる氏は9月8日、とあるゲーム内の撮影映像を自身のTwitterアカウントにて公開した。映像内では、主人公サクナヒメの身丈を遥かに超える巨大稲穂が田んぼにそびえ立っている。


なる氏のコメントによると、公開映像内ですくすくと成長した巨大稲穂の高さは5メートルにも及ぶそうだ。実際の通常サイズの稲穂の草丈は、収穫適期で約1メートルとされており、稲作に忠実な現製品版の稲穂と比較しても驚異的な高さといえる。小柄なサクナヒメはおろか、大男である田右衛門の遥か頭上からこうべを垂れているのだ。そんな無数の巨大稲穂が田んぼにそびえ立っている様子は圧巻の一言。田んぼに対しての密度が尋常ではなく、穂をかき分けて田んぼの中に突入したサクナヒメの姿がすぐに見えなくなるほど。稲穂の刈り取りにも苦労しそうだ。

左が製品版、右が公開映像の稲作風景


なる氏によってお披露目された5メートルにも及ぶ巨大稲穂。この巨大稲穂が実る光景は、現製品版のものではなく、試験的にゲーム内へ実装したものが撮影されているようだ。真意は定かではないが、巨大稲穂がテスト実装されるきっかけとなったのは、9月5日にAFPBB Newsが報道した出来事かと思われる。

AFPBB Newsが報じたのは、中国国家ハイブリッド稲工程技術研究センターの重慶サブセンターにて、巨大稲の試験栽培に成功したという内容だ。試験栽培に成功した巨大稲には、通常稲の2倍を超える2.2メートルの高さを誇るものもあるという。1本の穂に実るモミの数も、通常の稲穂が100~200粒であるのに対して、巨大稲は約500粒に上るそうだ。

そんな巨大稲の栽培成功に反応したのは、えーでるわいすのこいち氏。本作を企画・開発し、グラフィックアートやCG全般、脚本も担当した人物である。そしてこいち氏が同報道を引用したツイートになる氏も反応。「浮稲だと5mとかいったりするみたいだから、でかい稲自体はそこまでおかしいわけでもないのかもしれない」とコメントしていた。


その後の9月8日、なる氏は巨大稲穂が成長する様子を収めた今回の映像投稿に至った。実質3日足らずという驚異的なスピードで、ゲーム内に巨大稲穂を実装したわけである。なお、同氏が試験的にゲーム内へ実装した内容を公開したのは今回だけではない。過去には、リアルタイムで鏡面反射や周辺の映り込みを描画する手法「Screen Space Reflection(SSR)」をゲーム内に実装したことを報告している。しかしながら同氏によると、透明度が上がるがアート感が飛ぶ、稲穂がどこまで浸かっているのか分かりにくくなるなどの理由から、正式採用には至らなかったようだ。

そういった過去の事例からは、閃いたアイデアを即座に実装するという同氏のフットワークの軽さがうかがえる。今回の巨大稲穂の実装および公開映像についても、同氏の軽やかなフットワークから生まれ出た賜物といえるかもしれない。


なお、5メートルの巨大稲穂の正式実装については、本作の稲作に忠実なゲームバランスを考慮すると少々現実的には捉えにくいかもしれない。とはいえ、現実に2メートルの巨大稲穂が誕生していることもあり、今後現状の上限サイズを超える稲穂が登場するのかどうかは気になるところだ。

ちなみになる氏のTwitterアカウントでは、サクナヒメとミルテが家で寝ている姿や、広報素材として収められた梅雨の村の様子など、製品版では見られない貴重な資料や制作秘話が公開されている。興味のある方は同氏のツイートをチェックしてみるといいだろう。


『天穂のサクナヒメ』は、Nintendo Switch/PS4/PC(Steam)向けに発売中だ。Nintendo Switch/PS4のダウンロード版については、9月15日まで30%オフセールが開催されている。

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