AmazonのMMO『New World』グラボ破壊問題について製造メーカーが見解示す。「はんだ付け不良」が原因か


MMORPG『New World』をプレイ中に一部のGPU(グラフィックボード)が故障すると報告されている問題について、グラフィックボード製造メーカーのEVGAが公式な見解を示した。海外メディアPCWorldが報じている。

『New World』はAmazonのゲーム開発・販売部門Amazon Gamesが手がけるMMORPGだ。同作は7月21日よりクローズドベータテストを実施しており、開始直後から大きな賑わいを見せる一方で一部プレイヤーから「プレイ中にグラフィックボードが壊れた」との報告が相次いでいた(関連記事)。故障報告された機種の大半がハイエンドGPUであるNVIDIA RTX 3090搭載グラフィックボードだとされており、特にEVGA製品の名が多く挙がっていた。

EVGAの広報担当が海外メディアPCWorldに語った内容によると、不具合の直接の原因としては同社製の一部グラフィックボードに施された「不出来なはんだ付け」が有力だという。EVGAには『New World』ベータ版のプレイ中に故障したと思われるRTX 3090搭載製品が約24枚ほど届けられており、いずれも2020年の製造初期に作られた製品だったとのこと。同社が故障した製品にX線解析をおこなった結果、グラフィックボードの電力供給にまつわるMOSFET(半導体の一種)付近のはんだ付けに不良が見られたという。


EVGA広報担当は、はんだ付け不良が存在するのは同社が販売したRTX 3090搭載製品の1%にも満たないと伝えた。また、同社はNVIDIAおよびAmazonと共同でさらなる不具合テストをおこなっているとコメント。テストのなかで今回問題となった故障を再現することはできなかったものの、同社広報担当は『New World』ベータ版においてメニューにフレームレート(秒間描画数)の制限がかかっていなかった点に触れている。同作のメニューにフレームレートの制限が設けられてからは、EVGAに不具合の報告は来ていないそうだ。すなわち、はんだ不良のあるグラフィックボードに、ゲームが過剰な負荷をかけることで故障が発生した可能性を示唆しているのだ。

また、問題発生後一部ユーザーなどにより「グラフィックボードの冷却ファンコントローラーが正常に動作していない」可能性が指摘されたものの、EVGA広報担当はこれを否定している。一部のサードパーティー製モニタリングツールは、ハードウェア監視などに用いられる経路であるI2Cバスの信号ノイズのために、不具合が発生していると誤認してしまうそうだ。同社独自ツールのEVGA Precision X1は、ノイズを識別して正しい結果を報告できるとのこと。また、同社はグラフィックボードのマイクロコントローラーについてアップデートをおこない、対応したサードパーティー製ツールには正しい結果が表示されるよう改善したそうだ。


EVGAによる見解を総合すると、はんだ不良のある一部の同社製RTX 3090搭載製品に、『New World』が偶然爆発的な負荷をかけた結果、多数報告された故障の原因になったと考えられる。現在、同作において問題とされたメニューでの高負荷現象にはAmazon Gamesにより修正が施されており、EVGAも故障した製品の交換サポートをおこなっている。

グラフィックボードといえば高額になりがちなPCパーツ。一連の騒動で故障が報告されていたEVGA GeForce RTX 3090 FTW3 ULTRAに至っては、20万円から40万円という値段のつく商品だ。故障するのを想像しただけでぞっとする値段なものの、EVGAの見解からすると現在は比較的安心して『New World』を遊べるようだ。