ハクスラARPG『アウトライダーズ』は、まだ損益分岐点を超えていない可能性。開発元が、ロイヤリティが支払われていない状況を明かす


デベロッパーのPeople Can Flyは8月16日、アクションRPG『OUTRIDERS(アウトライダーズ)』に関する収益について投資家向けに報告した。それによると、本作の売り上げはまだ損益分岐点を超えていない可能性があるという。

『Bulletstorm』や『Gears of War: Judgement』などを手がけたことで知られるPeople Can Flyは、スクウェア・エニックスと提携して『OUTRIDERS』を開発。本作は、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに、今年4月に発売されている。また、Xbox Game Pass向けにも提供された。


『OUTRIDERS』は、ローンチ直後にはサーバートラブルやゲームがクラッシュする問題などが発生していたものの、発売から1か月間で350万人以上のプレイヤーを獲得。また、平均プレイ時間は30時間を超えていることが当時報告されていた。

また、スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長の松田洋祐氏も、今年6月開催の決算説明会にて、初動で課題があったものの、新規IPとしての出足は好調だったとコメント。デジタル販売比率が非常に高く、アクティブユーザー数も想定以上に推移しているとして、“ポジティブサプライズ”であるとも述べていた(関連記事)。

このようにおおむね好調であることが伝えられていた本作であるが、今回のPeople Can Flyによる報告によると、同スタジオは販売元であるスクウェア・エニックスから、まだロイヤリティを受け取っていないという。これは利益が出ていないことを意味し、少なくとも今年度第1四半期のなかでは、本作の開発やQA、プロモーション、流通などにかかった費用を回収できていない可能性があるとのこと。スクウェア・エニックスとPeople Can Fly間の契約詳細は定かではないが、スクウェア・エニックスが販売にかかるコストを負担しつつ、損益分岐点を超えた時点で、People Can Flyにロイヤリティが支払われる取り決めなのだろう。


People Can FlyのCEO Sebastian Wojciechowski氏は、実際の売り上げ本数については知らされていないが、損益分岐点を超える200〜300万本程度は売れていると想定していたとコメント。ただ、スクウェア・エニックスからロイヤリティの支払いがないということは、同社の考えるところでは、それだけの数字には達していないのだろうと述べている。

また同氏は、売り上げ予想とは異なる結果となったことについて、スクウェア・エニックスのセールスに関するポリシーに関係している可能性や、各種コストが同社の想定を上回った可能性にも言及。とはいえ、2021年内には最初のロイヤリティを受け取れるだろうとし、今後People Can Flyとして売り上げについて精査していくとした。

なお、People Can Flyは今回の報告のなかで、『OUTRIDERS』へのサポートや開発は今後も続けていくと表明。また、今年5月に発表したAAA規模の新作についても、開発を進めているところだとあらためて言及している。同スタジオは、スクウェア・エニックスとふたたびタッグを組み『Project Gemini』を手がけているほか、Take-Two Interactiveとは『Project Dagger』と呼ばれる作品を開発中。さらに、自主販売する新作も用意しているとのことだ。