『Apex Legends』のチーター対策として「ランクマッチをバトルパス購入者限定にする」とのアイデアを開発者が提案し注目集める。ユーザーの反応はいかに


Apex Legends』にて、「ランクマッチをバトルパス購入者限定にする」との案が注目されている。開発者が提案し、Twitterにて意見を集めているようだ。議題を提起したのは、Respawn Entertainmentにてコミュニティ・コミュニケーションディレクターを務めるRyan K. Rigney氏。同氏の着想のもととなったのは、『Counter-Strike: Global Offensive』における施策のようだ。

『Counter-Strike: Global Offensive』はValveが運営する、基本プレイ無料のマルチプレイヤーFPS。つねに数十万人規模の同時接続数を維持する、いわずとしれた対戦ゲームだ。ただし間口が広いだけあって、チート被害報告も深刻。なかにはユーザーが“偽チートツール”を開発して不正ユーザーを懲らしめるなど独自の動きも見られ、同作におけるチーター対策は運営チーム・ユーザー双方にとって悩ましい問題となっていた。

そんな『Counter-Strike: Global Offensive』は6月3日、チーター対策として新たな施策を発表。新規プレイヤーは経験値・ランク・ドロップ・スキルグループを利用不可能とし、それらの機能はプライムステータスのプレイヤー限定となったのだ。新規プレイヤーは、Steamのストアよりプライムステータスアップグレードを購入することで、制限された機能を開放することが可能。つまりランクを含む一部機能が有料サービス限定となったわけだ。このほか、スキルベースマッチングは利用可能でも対戦スキルグループが昇格しなくなるなど、いくつかの制限が設けられることとなった。
 

『Counter-Strike: Global Offensive』

 
同様の仕組みを『Apex Legends』に導入するのはどうか、というのがRigney氏による提案である。というのも『Apex Legends』では、高ランク帯においてもチーターが跋扈。運営チームの頭を悩ませる一因として、チート利用者をBANしても、新たなアカウントを作成することで容易に復帰できてしまうという問題があった。もしランクマッチをアカウントに紐づけた購入履歴と照会するなら、チーターはアカウントを作りなおすたびにいちいちランクマッチ参加権を購入しなくてはならず、膨大な費用がかかることになるわけだ。また、高ランク者がサブアカウントを使って初心者を狩るスマーフ行為の対策となることも期待されている。

Rigney氏はここで、ふたつの方向性を提案。ひとつは、単純にランクマッチへの参加権利を有料にするというもの。Twitter上のアンケートでは、本稿執筆時点で約2万6000票が集まり、うち52.9%が賛成。30.8%が反対としている(残りは中庸)。提案に対し好意的なユーザーが半数を占めているようだ。一方、Rigney氏はもうひとつのプランも提案している。それは、「バトルパスをいちどでも購入したことのあるユーザーのみ」ランクマッチに参加可能とするシステムだ。こちらのアンケートでは現在約2万5000件の票数が集まり、賛成意見が61%、反対意見は26.2%という途中結果。別途ランクマッチ用の費用を支払う案よりも、さらに好意的な反応を示すユーザーが多いことがうかがえる。
 

https://twitter.com/RKRigney/status/1400616914867609605

 
本件についてはリプライ欄でもさまざまな意見が寄せられており、なかには「純粋にゲームを楽しみたい低所得ユーザーや若年ユーザーには酷だ」との意見も。Rigney氏は指摘を受け止めつつ、ほかの施策案についても考慮したことを明かしている。たとえば2段階認証についても検討したが、仮想携帯電話番号による偽造が容易すぎるため却下に。またプレイ時間やレベルによる制限は、放置プレイやbotによる偽造を引き起こしかねないと考えているようだ。なお本件についてはリードゲームデザイナーであるDaniel Zenon Klein氏も反応。「リアルマネーによる購入」と「大量の無償ゲーム内通貨による購入」の2択にすれば、純粋にリアルマネーを支払えないユーザーへの選択肢を担保しつつ、チーターへの障壁になるのではないかと指摘している。

「従来無料で利用できた機能を有料化する」という大胆な提案に、投票の半数以上が賛意を示すという意外な結果。それだけチーター駆逐を望むユーザーの要望が大きいということを示していそうだ。今回のアンケートはあくまでRigney氏が個人的に実施したものであり、今後の『Apex Legends』に影響をおよぼすかはわからない。しかし、今回の調査で明らかになったユーザーの強い声は、運営に何らかの検討をうながすことになりそうだ。