『Apex Legends』既存レジェンドの調整予定について開発者が回答。コースティック弱体化やライフライン能力改修を予告


Respawn Entertainmentは2月6日、海外掲示板Redditにて『Apex Legends』にまつわるAMA(Ask Me Anything/何でも聞いてね)を実施。シーズン8開幕に合わせ、ユーザーから寄せられたさまざまな疑問に回答した。スレッドでは新シーズンの追加要素に多くの注目が集まる一方、既存のレジェンドについても多くの一問一答が集まっている。今後のレジェンドメタはどうなっていくのか、そのヒントを開発者の声から探ってみよう。

最近の議論が活発なレジェンドのひとりがコースティックだ。博士といえば、シーズン7末期に“強化しかけて中止”になった騒動が記憶に新しい(関連記事)。結局は性能据え置きとなり、シーズン8でも微調整にとどまった彼だが、その動向を注視するプレイヤーは少なくないようだ。あるユーザーは、コースティックのアビリティの強力さに厳しい意見を向けた。競技シーンやカジュアルシーン、いずれにおいてもコースティックのガスは威力が高く、「レジェンド性能よりガンプレイ優先」であるはずの『Apex Legends』の理念に反するのではないか。新レジェンド・ヒューズの参加と合わせて、現状のゲームは『オーバーウォッチ』のようなアビリティ優位の作品に移行しつつあるのではないか、との懸念が述べられている。
 

 
この指摘に回答したのは、Respawn Entertainmentにてライブバランスデザイナーを務めるJohn Larson氏。そもそもコースティックの性能は昨年11月より味方(および敵)のガス内目くらまし効果を削除してから潜在的に高まっており、たまたま先月からそのポテンシャルが脚光を浴びるようになった、というのがLarson氏の見立てだ。コースティックは現在、20分以内の試合であれば勝率トップを誇るという。防衛型ながら状況次第で攻撃的に立ち回れる彼について、開発チームとしては現在のプレイフィールを損なわないまま「微調整」する必要があると感じているとのこと。

コミュニティのフィードバックやデータを参照しても、現状でコースティックが非常に強力であることは明確。将来的には「何らかの注目を集めるだろう」と示唆されており、博士に弱体化が入る可能性が示唆されている。なお「アビリティ優位化」の傾向については、そうならないためにチームが解決に取り組んでいるといい、それぞれのレジェンドの能力が独自の領域を占めることが大切だとしている。
 

 
アビリティについていえば、ライフラインの能力改修も旬のトピックとなっている。というのも今、アルティメットアビリティによるケアパッケージ呼び出しの価値が大幅に下がっているためだ。物資補給という面では、後発で大幅に性能が向上したローバのブラックマーケットに大きく劣る。召喚時に敵に発見されたり、レアアイテムが出ても紫ノックダウンアーマー程度であったりと、何かとリスクやガッカリ感が叫ばれているのが現状だ。加えて、パッシブアビリティも多くのプレイヤーのフラストレーション源になっているという(戦闘復活/小柄のいずれを指すかは明言されず)。Larson氏いわく、次の「能力パワーシャッフル」を受ける最有力候補がライフラインだという。

また、Larson氏と同じくレジェンドのバランス調整に携わるデザイナーDaniel Zenon Klein氏も彼女について言及。まだ非常に初期段階ではあるものの、彼女のパッシブについて改修を目標とする実験的なテストプレイをおこなっていると明かした。まだ話すには時期尚早だと伏せるにとどまったが、近々ライフラインに対し大きな変更が加えられる可能性は高そうだ。
 

 
性能やアビリティが過渡期にあるレジェンドがいれば、成熟期に入りつつある者もいる。パスファインダーの近況について語られたところでは、現在ピック率・勝率とも非常に健全な範疇にあるという。グラップルが“壊れ性能”だった時代から、ヒットボックス増大やCT大幅変更など波乱の調整遍歴をたどってきたMRVN。そのかいあって、この調子が続けばパッシブの「小柄」も外すことを検討されているとのこと。現状の弱点である打たれ弱さも改善を見込めるかもしれない。

加えていえば、現在パスファインダーはALGSなどの競技シーンではピックされにくく、Klein氏によればもう少し競技シーンで通用する強さをもっていてもいいところだという。ユーザーから強化案を募る中で、彼の「機械の体を活かす」アイデアが有力であることが明かされた。というのは、レンズアイを活かし、常にスコープに可変ズーム機能を付与するというもの。限りある時間をいつパスファインダーに割けるかはわからないとしつつも、テストについてはかなり前向きな姿勢を示している。

ちなみに機械仲間でいうと、シーズン8にて予告どおり「強化お預け」を食らったレヴナントもスレッドで議題に上がった。“嫌われすぎる”がゆえになかなかバフしづらいことが語られてきた彼だが(関連記事)、同時に現状の戦績からいえばテコ入れが必要であることも開発陣から認知されているとのこと。可能性としてはヒットボックスの優遇かパッシブアビリティの追加が濃厚とのことで、一案として「無限に壁を登れる」などのアイデアも検討されているという。こちらは「数字をいじるだけ」の調整では済まないためテストや導入には時間がかかると思われるが、少なくともレヴナントが開発チームにまで“嫌われている”ということはなさそうだ。
 

 
なお特定レジェンドの話題のほか、キャラクターごとの「ロール」にまつわる情報もチラ見せされた。開発チームは、ロールに応じたパッシブアビリティの導入について検討を重ねているようだ。現在でいうと、リコン型であるパスファインダー・ブラッドハウンド・クリプトに実装されている「調査ビーコンの利用」がそれにあたる。ほか、サポート型/オフェンス型/ディフェンス型のレジェンドにも役割に応じたアビリティを付与できないか試行錯誤が重ねられてきたという。

例を挙げると、サポート型の場合は「サプライボックスから余分にアイテムを獲得できる」というもの。こちらは現在、ライフラインが拡張サプライボックスを開封可能なアビリティに該当する。実は、同じくサポート型であるローバにも同様の能力を与えるかどうか議論されているようだ。一方、オフェンス型レジェンドについては「グレネードを余分に所持できる」という案。これは複数キャラクターに実装するには強力すぎたため、ヒューズ単体のパッシブとして採用されるにとどまったようだ。

もっとも苦心しているのはディフェンス型についてで、一案としては「ドアをバリケード封鎖し、殴らないと開かないようにする」というものが実験されたとのこと。実際にはあまりにもニッチすぎる性能だったため、ベストな解答は得られなかったという。こうした紆余曲折を経て、直近でロールパッシブが導入される可能性は低め。ただし良いアイデアが浮かべば実装に対しては前向きとのことで、今後の動向が気になるところだ。
 

 
開発チームからの率直な声で、さまざまな事実が明らかになったAMA。今回判明した情報が戦場にどのような影響を与えていくか、注目しておくといいだろう。