『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にて「1.4キロ先の敵」を狙撃、その瞬間の激写に成功するプレイヤー現る。凄腕たちが高め合う

Image Credit : ゼルダねこ

国内のプレイヤーゼルダねこ氏は1月10日、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のスーパープレイ映像を投稿。全世界で話題を呼んでいる。プレイ内容は、始まりの台地から1400メートル(1.4キロ)先のガーディアンを狙撃するというもの。ただ狙撃するだけでなく、狙撃が当たったことを確認するところまで含まれており、その“映え”から話題となったようだ。


プレイのスタート地点となるのは、時の神殿跡。準備をしたのち、そのまま盾に乗りながら降下する。古代兵装の矢を遠方に撃ち込むと、ボコブリンを踏みつけ加速しながら空へ。ものすごい速さで滑空していると、なんとさっき撃った矢が上空に見えるではないか。滑空しながらガーディアンに矢が当たったところを確認し完了。「1.4キロ先の敵」の狙撃が立証されたというわけだ。1.4キロという長さの計測には、後述するゆきの氏の方法が採用されている。ともかくかなり遠方にいる敵を狙撃し、それを映像として収めたことは見事としか言いようがない。

実は、遠方から敵を狙撃するということで話題になった例としては、ゆきの氏による魔獣ガノン狙撃があげられる(関連記事)。ゆきの氏は、1100メートル先の強敵を光の矢で狙撃していた。挑戦としてはかなり野心的で、そもそも1キロ以上先に攻撃が当たるというゲームのメカニクス自体や、それを実際に試したゆきの氏のテクニックとハングリー精神が脚光を浴びた。一方でゆきの氏自身は同チャレンジについて「絵面的に地味」ともこぼしていた。この野心的なチャレンジを丁寧になぞりながら、かつ進化させたのがゼルダねこ氏の挑戦なのである。

ゼルダねこ氏の挑戦は、テクニックとしてもかなり高度。単に狙撃し、飛んでその行く末を見届けただけではない。さまざまな小技が用いられている。鍵を握るのはBullet time Bounce(BtB)である。リンクを操作し、いずれかの敵キャラの頭上から盾サーフィン。空中で弓を構えてスローモーション状態になりつつ、そのまま敵の背中に落ちるというものだ。うまく盾に乗りながら敵に直撃すれば、リンクがものすごい速度で“ぶっ飛んで”いく。それがBtBである。今回の動画で披露されている滑空は、このBtBとさまざまなテクニックと組み合わせて使用されている。BtBは一見簡単そうに見えるが、思った方向に飛ばすにはかなり練習が必要。見た目以上に高難度テクニックである。

丁寧な準備・緻密な狙撃・BtBの角度調整や加速。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にまつわる上級テクニックを掛け合わせることで、信じがたい超現象を映像として収めることができるのだ。ゼルダねこ氏に実際に話を訊いてみたところ、YouTubeやTwitter、そして攻略サイトなどの情報を手がかりにしながら、今回の挑戦をおこなったという。また前述したゆきの氏の魔獣ガノン狙撃から影響を受けているほか、ドリルカラマリ氏の「ガーディアンを描画距離ギリギリから狙撃する」という動画も、今回の挑戦を始めるきっかけになったという。なお狙撃の限界範囲は、2000メートル程度ではないかとされている。


実はゼルダねこ氏が『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』界隈において目立つようになったのは比較的最近。動画投稿も、始めたのは2020年8月からである。「ガーディアンを脚付きでゾーラの里に運んでみたこと」をほかのユーザーに見せたいという動機から、動画投稿を始めたそうだ。ドット絵の作成などをしながらも、驚異的なペースでさまざまな分野の面白チャレンジを敢行し、動画としてTwitterやYouTubeに残してきた。ニューフェイスでありながら、強い好奇心と実践力、そして弛まぬ努力によって注目を集める存在となったのだろう。今回のチャレンジについて、挑戦した回数(時間)に訊いてみたところ、前回の射撃チャレンジから「1か月」かかったとのこと。1回の挑戦には2分を要しており、録画失敗などを含めると、累計時間は少々考えたくない数字になるとコメント。とにかく大変だったようだ。

今回のチャレンジはその派手さから注目を集めたが、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のやりこみの世界は極めて奥深い。たとえば、ゼルダねこ氏はウィンドボムを使いスタイリッシュな長距離射撃を試みたり、ヒノックスをハテノ村に連れてきたり、ほかにも興味深いチャレンジをしてきている。もっと言うならば、国内ユーザーではPeco氏がスタイリッシュな戦闘シーンを撮り続けており、オカメいんこ氏が日々新たな現象を探っていたりと、研究と試みが続けられている。海外Redditでも日々面白プレイが投稿されている。もちろん、名前に出ないプレイヤーも含めて、強者達が『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のさらなる遊びを生み出そうとしている。


今回の1.4キロメートル狙撃チャレンジは、その挑戦自体のすごさだけでなく、コミュニティが盛んであることを指し示しているだろう。最近では光の弓矢を持ち越したままニューゲームを遊ぶといった研究が進められている。普通にクリアするだけでも傑作であるが、こうしたちょっと変わったプレイを楽しんでみるのもいいだろう。ゼルダねこ氏は、長距離射撃を研究する内に、ゲームの場所や魔物の動きに詳しくなっていったと話している。特殊なプレイに挑戦する中では、成功の喜びだけでなく違う視点で世界を楽しめるとし、こうした遊び方の醍醐味を語った。本作は、多彩な遊び方を許容するゲームなのだ。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はNintendo Switch向けに発売中。前日譚となる『ゼルダ無双 厄災の黙示録』もリリースされている。