ブラックPS5を海外メーカーが発表、予約受付を開始するも急遽キャンセル。「脅迫を受けた」と説明


昨年11月に発売され現在も品薄が続くPlayStation 5は、大きな白いパネルで本体を挟み込んだようなスタイルが特徴的だ。また、PS2以降は黒色の筐体でローンチしてきたため、白を基調としたデザインは珍しくもある。一方で、別のカラーバリエーションを求めるファンは一定数存在し、さまざまなコラージュがローンチ前から注目を集めてきた。

そんななか、黒色のPS5本体およびDualSenseを販売するという業者が突如登場。1月8日に数量限定で販売開始するやいなや、即売り切れとなる人気ぶりを見せた。しかし、翌日になってすべての注文がキャンセル。身の危険を感じるような脅迫を受けたことが理由だという。


米国に拠点を置くSUP3R5は1月5日、カスタムデザインのPS5本体を304台と、500台のDualSenseの予約受付を開始すると発表。そのデザインは、全体的にブラックに統一され、ワンポイントにカラーのPSロゴを配置。パネル部分の切り欠きのPSロゴにも色が入れられ、下部には“30周年記念”を表すシリアルナンバー入りのプレート。また、DualSenseのボタンのマークにも、おなじみの色分けがなされている。どことなくPS2を彷彿させるデザインだが、これはスキンシールなどではなく、耐久性の高い塗装を施したものだとしている。

SUP3R5は、当初予定から1度延期して1月8日から予約受付を開始。通常版は849ドル(約8万8000円)、デジタル・エディションは749ドル(約7万8000円)、そしてDualSense単品は99ドル(約1万300円)に設定され、今年の春頃に出荷するとしていた。かなり割高ではあるが、PS5自体が世界的に品薄であることや、魅力的なカラーリングなどによってすぐに売り切れた。

しかし翌1月9日になって、SUP3R5はすべての注文をキャンセルし、数日以内に返金をおこなうと発表。その理由として、スタッフの安全を脅かす強迫行為があったとし、スタッフを危険に晒すわけにはいかないとコメント。また、これによって製品の出荷に影響が及ぶ可能性についても懸念したとしている。どのような内容の脅迫が届いたのかは不明だが、同社がカスタムしたPS5のデザインを快く思わない人々がいたようだと述べていた(VGC)。

Redditに投稿された画像(現在は削除済み)


海外の大手メディアにも取り上げられ、大きな注目を集めたSUP3R5のカスタムPS5は、すべての予約を取り消し、現在は販売延期したとだけ公式サイトに掲出している。予約に成功していた人にとっては残念な状況となってしまったかもしれないが、この製品に対しては訝しむ見方が一部にあった。

SUP3R5が販売するとしていたブラックのPS5の画像は、もともとはRedditに投稿されていたもので、その後にSUP3R5のサイトが公開されたという。そのため、画像を盗用した詐欺行為なのではという指摘が一部にあったのだ。投稿者と販売者が同一人物で宣伝目的だった可能性はあるが、PlayStationが今年27周年目を迎えるところ“30周年記念”としている点は、ファンアートとしてのモックアップ画像だった印象の方が強い。

なにより、PS5を黒色に塗り替えることはともかく、PSロゴを使用した製品をSIEに無断で販売することが可能なのかという点もある。これまでのところSUP3R5は、SIEから抗議を受けたかどうかについては明らかにしていない。またSUP3R5は、予約取り消し後になぜか公式Twitterアカウントを削除しており、何とも怪しい雰囲気が漂う。ただ、返金については受け取れたという報告が見られる。


PS5本体の白いパネル部分は、ユーザーによる取り外しが可能な仕様となっていることから、色を塗ったりなどのカスタマイズをおこなうユーザーが見られる。一方で、白色以外の交換パネルを製造販売するメーカーもいくつか現れたが、いずれもSIEによる著作権侵害の申し立てを受けて事業を断念。そのひとつだった「PlateStation 5」も、現在はPS5用のスキンシールの販売に舵を切っている(関連記事)。

SUP3R5はPS2風デザインのPS5の販売については延期したとしており、いずれ予約受付を再開させたい考えのようだ。ただ上述した状況からすると、SIEはSUP3R5に対しても行動を起こす、あるいはすでに起こしていた可能性があるだろう。安心して購入できるSIE公式・公認のカスタマイズパネルや、カラーバリエーションモデルの発売を期待したいところである。