ゲームの「セーブポイント」の話題がいま熱い。オートセーブ普及で失われる文化を偲び、「思い出のセーブポイント」が集まる

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本日1月7日、日本国内のTwitterにて「セーブポイント」が話題となった。セーブポイントといえば、ゲームの進行データを記録することができる中継地点だ。作品ごとにその形態はさまざま。ある作品では教会の神父だったり、また別の作品ではクリスタルであったり、世界観ごとに多彩な姿を見せている。1日ゲームを遊んで一休みするなら、まずセーブポイントまでたどり着くのが常識……といいたいところだが、現代においてその“当たり前”は通用しないかもしれない。そんな危惧を一部ゲーマーに抱かせたのが、下記のツイートだ。 
 

 
どこかで聞いたことのある語り口で伝えられる、セーブポイントの窮状。某ドキュメンタリー番組の予告風に述べられているのは、現実として今時のゲームが直面している“社会問題”である。そう、ここ最近のゲームでは「オートセーブ」機能が当たり前。ゲームが進むごとに自動で進行状況が記録されていくため、わざわざ特定のスポットに立ち寄って保存する必要がなくなっているのだ。したがって、かつてはどのゲームでも当たり前に見られたセーブポイントが、昨今のゲームではとんと姿を見なくなった。 もし、今『マインクラフト』を遊んでいる小学生にセーブポイントの何たるかを問うてみても、似たような反応が返ってくるかもしれない。 
 

 
ツイートを発信したのは国内のインフルエンサー、ロッズ氏だ。弊誌がインタビューしたところ同氏は、もともとセーブポイントに思い入れのある人は一定数いるのではないかと考えていたという。オートセーブが主流になりつつある現状を寂しく思う気持ちは、少なからず共感されるのではないかと発信したそうだ。もっとも、トレンド入りするほどの反響は予想外だったとのこと。実際、Twitter上には無数のユーザーから「思い出のセーブポイント」が集まっている。“使われなくなったセーブポイントが集められる”まほろばが、まさにオンライン上で実現しているのだ。そのいくつかをピックアップしてみよう。 
 

 
まずは『ファイナルファンタジー VII』におけるセーブポイント。ゲーム序盤のチュートリアルにてフィールド上のアイコンが説明されるのだが、なんとセーブポイント自身が喋り出して自己紹介するというコミカルな演出が挿入される。無機質なビジュアルに反して「あっしが【セーブポイント】でござんす!」とやたら低姿勢な口調が、妙に味のある存在だ。セーブポイントと並んで、なぜか俺様系の「宝箱」が名乗り出すというシーンもあるのだが、残念ながら世界観の都合かリメイク版では削除されている。 
 

 
『ファイナルファンタジー VII』のセーブポイントといえば、“偽セーブポイント”のイベントを思い出に上げるユーザーも多い。マテリアハンターの少女ユフィを仲間にする際、近くにあるセーブポイントで記録をとろうとするとトラップが発生。セーブできないうえに、お金まで盗まれるという罠になっている。よく見るとUIに「メニューを開いてセーブを選ぶとゲームの状態を保存“できません”。」と書いてあるのだが、初見ではなかなか見破れない引っかけに泣かされた人も多かった。 
 

 
お次は『MOTHER 3』のセーブポイント。本作ではカエルに話しかけることで進行状況を保存することができる。ロケーションによってその姿はさまざまで、妖精の姿をしたカエル、ヘビに飲み込まれたカエルなどバリエーション豊か。話しかける場所によってセリフが異なるのも特徴のひとつだ。ゲームを始めて最初に出会うカエルの言葉は哲学的な示唆に富んでおり、印象深いプレイヤーも多いはず。シリーズつながりでは、『MOTHER』『MOTHER2 ギーグの逆襲』におけるセーブポイントも有名だ。こちらは、黒電話を通して主人公の「パパ」と通話することで記録できるという設定。セーブすると同時に銀行にお金を振り込んでくれる存在でもあり、頼もしくも謎多き人物として多くの人の記憶に残った。 
 

 
こちらのセーブポイントは、『ゼノギアス』における「メモリーキューブ」と呼ばれる存在。半透明の金色の板状をしており、特に変わったところはない……と思いきや、メモリーキューブには大きな秘密が隠されている。実は各地に点在するキューブは単なるオブジェクトではなく、主人公や世界の人々の命運を握る重大な役割を担わされているのだ。プレイヤーの都合で存在するセーブポイントをストーリーに絡めたメタ的ギミックは、多くの人に衝撃を与えた。記録保存時の独特のSEや、ファイルごとにサブタイトルがつくシステムも人気が高い。 

なお、話題の発端となったロッズ氏にお気に入りのセーブポイントを聞いてみると、『ICO』のセーブポイントとの回答が返ってきた。同作のセーブといえば、古城の中に鎮座する石造りのベンチに座ることで記録を保存することができる。使用時の専用BGMの素晴らしさや、「プレイヤーとキャラクターの安心感がリンクするようになっている部分が本当に好き」とロッズ氏は語ってくれた。いつ影の魔物に襲われるかわからない緊張感の中、束の間の休息を得るイコとヨルダの姿に共感したというプレイヤーも多いはず。 
 

 
すっかり鳴りを潜めたセーブポイントの繁茂。しかし近年の作品にも密かに、たくましく育つセーブポイントの姿を見ることができる。実際、ロッズ氏のツイートに連なるスレッドではここ数年の作品における印象深いセーブポイントが紹介されているのだ。オートセーブが普及した現代において、確かにセーブポイントの必要性は少なくなってきているのかもしれない。しかし「その分、個性的なセーブポイントがまだまだ出てくるんじゃないか」とロッズ氏は語る。「ゲームって、開発者のこだわりが様々なところに込められていますので、セーブポイントにもまだまだ注目していきたいですね」とセーブポイント愛にあふれるコメントを寄せてくれた。もし今遊んでいるゲームにセーブポイントが登場したら、そこに込められた制作者の思いを読み取ることができるかもしれない。 

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