Nintendo SwitchのJoy-Conドリフトをめぐり、新たな集団訴訟が米国で発生。原告側はJoy-Conを分解し、“欠陥”の原因を電子顕微鏡写真付きで提示


Nintendo Switch用コントローラーであるJoy-Conにおける、いわゆる“Joy-Conドリフト”を巡って、アメリカで新たな集団訴訟が提起された。海外では、任天堂の各地域の法人に対して複数の集団訴訟が提起されているが、今回は原告がJoy-Conドリフトの原因を具体的に示していることが特徴である。海外メディアPolygonが報じている。

Joy-Conドリフトとは、Joy-Conのアナログスティックに触れていないのに、勝手にスティック操作がおこなわれる上の映像のような現象のこと。内部パーツの何らかの不具合が原因だと考えられており、Nintendo Switch Liteのアナログスティックでも発生することがあるようだ。それぞれの集団訴訟の原告は、これは製品としての欠陥にあたるとして訴えている。そして今回、A.C.氏およびMaria Carbajal氏を代表とする原告は、11月17日にワシントン西部地区連邦地方裁判所にて、米国任天堂を相手取り新たな集団訴訟を提起した。

今回の集団訴訟でも基本的な主張はこれまでと同じ。昨年発売された新モデルを含むNintendo SwitchやNintendo Switch Lite、また別売りのJoy-Conにおいてドリフト問題が発生していることを受け、製品としての欠陥であると主張している。ただ原告の弁護士は、技術者の協力を得てJoy-Conドリフトの原因を調査。その結果を訴状にて提示している。


Joy-Conのアナログスティックの内部は複数のパーツによって構成されている。ユーザーのスティック入力は、金属製のブラシパーツが導電性のパッドに接触することで信号を伝える仕組みになっており、ブラシの移動でX/Y軸のアナログ入力をおこなっているそうだ。

原告側は、それぞれのパーツの表面硬度の違いから導電性パッドが摩耗し、電気抵抗が変化すると指摘。また、削れて発生した粉がブラシに付着することでパッドの摩耗を悪化させているとして、通常使用したJoy-Conのブラシパーツの電子顕微鏡写真を添えている。そこには、確かに白くかすのようなものが付着している。さらに、スティックの動きを制御するポリエチレン製パーツについても、接触による摩耗で粉が発生し、導電パッドの摩耗を促進させるという。そして、このように電気抵抗を不自然に変化させるパーツのデザインや素材選択が、Joy-Conドリフトの原因だと主張している。

同様の指摘はこれまでにもコミュニティ内ではなされていたが、今回集団訴訟の訴状にて具体的に示されたかたちだ。欠陥であるとの主張を強固にする狙いがあるものと思われる。原告は裁判所に対し、集団訴訟の認定と陪審員裁判を求めると共に、米国任天堂に対する不公正な商習慣の差し止め命令、リコールあるいは無償交換プログラムの実施、デバイスの買い戻し、損害賠償の支払いなどを求めている。米国でのほかの集団訴訟では和解交渉に入っているものもあり、本件が必ずしも裁判に進むとは限らないが、今後の展開が注目される。