『Apex Legends』の「Lスター」がまたしてもトレンド入り。紛らわしい“あの単語”との因縁は夏から始まっていた

 

日本のTwitterトレンドに9月28日、「Lスター」がランクインした。『Apex Legends』におけるライトマシンガンのひとつで、正式名称は「L-スターEMG」。プラズマ弾を放つエネルギー武器であり、無限のマガジン弾数を誇るが撃ち続けるとオーバーヒートを起こしてしまう一癖ある武器だ。そのLスターに何が起きたのかというと、何も起きていない。アップデートも修正も入っていないのにどうして話題になったのか。その理由のヒントはトレンドに入ったLスターのカテゴリ名に隠されている。Lスターはなぜか「サッカー」の話題として扱われているのだ。


実はLスターと同時にトレンド入りした単語が存在する。それが「レスター」、ゲームとはまったく関係のないプロサッカークラブだ。こちらの正式名称はレスター・シティ・フットボール・クラブで、イングランド・プレミアリーグに加盟している。9月27日にはイングランド各地で試合が行われ、レスターは強豪マンチェスター・シティを相手に5対2の大勝を収めていた。レスターは開幕より3連勝で首位をキープしており、ストライカーのジェイミー・バーディが鮮やかなハットトリックも見せたことからサッカー界隈で話題が沸騰。遠く離れた日本でもトレンド入りを果たすこととなる。

以上を読んでとっくにお察しかと思うが、「レスター」と「Lスター」はあまりに似ている。カタカナの「レ」とアルファベットの「L」はそっくりすぎるのだ。先述の試合を経てまず先にレスターがトレンド入り。それを見た『Apex Legends』ファンが勘違いし、「Lスターに何か強化があったのか」とざわつき出す。結果、追いかけるようにしてLスターがトレンド入りを果たしたというごく単純な話だ。


『Apex Legends』ファンが“だまされた”のは初めてではない。Lスターが国内Twitterでトレンドワードとなったことは過去数回あり、陰にはいつも英国名門チームの姿があった。今年7月にはLスターが2度トレンド入り。そのうち7月2日はプレミアリーグにてエヴァートン対レスター戦が行われ、惜しくもレスターが敗退。昨年5位に躍進した古豪の黒星にサッカー界隈は騒然とした。一方7月20日には、レスターがリバプールよりGKダニー・ウォード選手を獲得。英国メディアはレスターが1250万ポンド(約18億2800万円)を支払ったと報じ、ニュースとなっている。

いずれのケースでもLスターの方が上位ランクとなっているのは興味深い。IGNの報道によれば現在『Apex Legends』における日本国内のアクティブユーザー20万人ほど。プレミアリーグの視聴人口を正確に推定することは難しいが、同リーグの試合は2019-20シーズンよりスポーツチャンネル「DAZN」が独占配信を続けている。「DAZN」の利用者数は毎月100万人程度とされるほか、ジャンルごとのユーザーの視聴時間はサッカーが1位であることが発表された。人口そのものを鑑みれば『Apex Legends』のLスターよりもプレミアリーグのレスターの方が人口に膾炙しそうなものだが、Twitterというメディアにはスポーツマンよりゲーマーの方が多いのかもしれない。

いずれにしても『Apex Legends』ファンの間では、もはやレスターが話題となるたびにLスターがトレンド化する現象を“恒例行事”として楽しむ風潮がある。またLスターは「弾速が遅い」「撃ち続けると大きくブレる」「弾がまぶしくて見えにくい」といった使いにくさから強化を望む声が大きい。心の底でLスターに変化を待つ心が、トレンド入りを後押ししているのだろう。なおレスターの顔であるストライカーのジェイミー・バーディの強みはスピード。チームとしても速攻が持ち味であり、共通点はあまりない。

ちなみにLスターが真の意味でトレンドワードとなったのは実装直後の2019年7月3日と今年2月5日で、後者においては堂々のトレンド3位。シーズン4が開幕し、Lスターが補給物資品ではなく通常ドロップ品に変更されたことから注目を集めた(関連記事)。この日は他にも「センチネル」「タボチャ」「レヴナント」など新シーズンで追加・廃止された要素が数多ランクインしており『Apex Legends』の話題性の強さを感じさせる。

逆にレスターだけがトレンドとなった日も存在。2019年10月26日、レスターがサウサンプトン相手に9対0の圧倒的勝利を収めた際は単独トレンド入りを果たした。まだLスターが追加されて4か月程度でケアパケ武器だったことから、ユーザー間で存在が浸透していなかったのだろう。もしくは全員がサッカーを見ていたのかもしれない。