『鉄拳7』などバンダイナムコの格闘ゲームでは、6割近いユーザーがWi-Fi接続でオンライン対戦。開発者が明かす


バンダイナムコエンターテインメントは8月1日、対戦格闘ゲーム『鉄拳7』のPC/PS4/Xbox One版について、「シーズン4」の実装が2020年秋に決定したと発表。新たに導入予定のコンテンツを紹介するティザーPVを公開した。

『鉄拳7』のシーズン4では、まずすべてのキャラクターについて新たなムーブを用意することや、「鉄拳力」を導入することが明らかに。鉄拳力は、アーケード版に先行して実装されている、プレイヤーの強さや上手さを評価する数値のこと。アーケード版の場合、段位や試合数などから算出され、一定値に達すると特別な色のオーラに変わるといった特典がある。また、より快適なオンラインプレイ体験を実現することや、新たな参戦キャラクターの登場も予告している。

オンラインプレイ体験の改善部分では、マッチング時の対戦相手の情報を表示した画面が紹介。ここでは使用言語や切断率に加え、電波マークが新たに追加されている。同日8月1日に開催された、対戦格闘ゲームを制作・販売する日本国内メーカーの担当者による生配信「日本格ゲーメーカー連合会」に出演した、鉄拳プロジェクトのチーフプロデューサー原田勝弘氏によると、これは相手プレイヤーがWi-Fiか有線か、どちらでインターネット接続しているかを表示しているという。ユーザーから、対戦前に判別できるようにしてほしいとの要望を受けて対応したとのこと。ちなみに、同様の機能としては『DEAD OR ALIVE 6』にも導入されている。


近年の家庭用ゲーム機にはWi-Fi(無線LAN)機能が標準で内蔵されている。また総務省の調査(PDF)では、スマートフォンなどの端末の保有世帯でのWi-Fi利用率が増加傾向にあるとし、平成25年末時点ですでに5割を超えていた。現時点においては、ゲームのオンラインプレイにWi-Fiを利用するハードルはさらに低くなっていることだろう。ただWi-Fi接続の場合、通信の速度や安定性の面でどうしても有線には劣ってしまう。

たいていのゲームでは問題にはならないが、フレーム単位の駆け引きをおこなう対戦格闘ゲームにおいては、ラグのような形でゲームプレイに悪影響を及ぼすことも。快適な対戦のためにいくら通信環境を整えていても、実際のゲーム体験は対戦相手の環境にも左右されるため、それを知るひとつの指標として、Wi-Fiか有線かを事前に知りたいという要望があったのだろう。

ただ原田氏は、そうした格闘ゲームであってもユーザーのWi-Fi使用率は高いことも明らかにしている。家庭用向けの『鉄拳7』や『ソウルキャリバーVI』『ドラゴンボール ファイターズ』などの全世界統計値では、5割を超えて6割近いユーザーがWi-Fi接続を利用しているという。一方PC版に関しては、逆に有線率が高いとも。また、日本に限定した場合も有線率が高く、日本や韓国はほかの国と比べて例外的に有線接続のユーザーが多いそうだ。

原田氏が示したWi-Fi接続率が6割近いというのは、あくまでバンダイナムコの格闘ゲームタイトルにおける全世界での数字。とはいえ同じゲーム機上において、遊ぶタイトルによってWi-Fiと有線をわざわざ切り替えるユーザーの数はそう多くないと考えられるため、全体的な数字を推測する上でも貴重な情報と言えるかもしれない。

このトピックにおいては、『FIGHTING EX LAYER』を手がけたアリカの取締役副社長・三原一郎氏もコメント。「実際、半数以上のプレイヤさんがWiFiユーザなので、悩んでいるところです」と、対戦相手のWi-Fi/有線接続表示を同作にも実装するかどうか悩ましい旨をツイートしている。Wi-Fiか有線かを表示すれば、自ずとWi-Fiユーザーが避けられる可能性が高まるだろう。三原氏は、Wi-Fiでも反応の良いプレイヤーは多く、出来る範囲で改善努力することも可能だとしているため、そうしたプレイヤーが不利益を被ることを危惧しているのかもしれない。

実際にオンラインプレイする上では、物理的に距離が近いプレイヤー同士での対戦を選ぶことが多くなるため、影響があるとすればそれは国や地域ごとに変わってくると思われる。原田氏の情報によると日本は有線ユーザーの割合が高いそうなので、そうした偏りがある場合にはマッチングにどのような影響が出るのか、あるいは出ないのか興味深い。

『鉄拳7』シーズン4にて参戦予定のキャラクターと思しきシルエット。原田氏はこのキャラクターについて、『DEAD OR ALIVE 6』のプロデューサー新堀洋平氏に「誰なんですかね?」と問いかけており、ファンの想像を掻き立てている。


また「日本格ゲーメーカー連合会」にて原田氏は、『鉄拳7』のネットコードに関連して、現在“大改造”をおこなっていることを表明した。ファンからは予測アルゴリズムを利用するロールバックネットワーキングの改善要望が寄せられていたものの、3D格闘ゲームである『鉄拳7』にてそれに応えるには、アニメーションなどの作り方を根本的に変える必要があったという。ただ、現在それに手をつけており、実験段階では上手くいきつつあるそうだ。同氏は、「このご時世なので、快適で長く遊べるオンライン環境にしたい」と意気込みを述べる。そのほか、『鉄拳7』の売り上げが600万本を突破したことや、このうち7〜8割がダウンロード版の購入であることなども明らかにしている。

『鉄拳7』のシーズン4は2020年秋に開始予定。詳細は今後発表するとのこと。またシーズン4の開始前には、本作の調整アップデートを何度かに分けて配信する計画もあるそうだ。こちらも随時情報が公開されていくだろう。