『マインクラフト』にて「タイトル画面のワールド」のシード値が発見される。おなじみのあの場所に行けるように


『マインクラフト』(以下、『マイクラ』)にて、タイトル画面のワールドに行く方法が発見されたとして、Redditなどで話題を呼んでいる。本作には「シード値」という概念が存在する。新規ワールドを作成した際、どこに何があるかを決定するランダムな数値だ。ワールドを作成するときに自分でシード値を指定することもでき、同じ数値を入れればまったく同じワールドが生成される。これを利用して、ゲーム開始地点のすぐそばに村や廃坑が見つかるワールドを狙って作ることも可能だ。スポーン地点がおいしいシード値は有益な攻略情報としてシェアされることも少なくない。

拠点を作りやすい、ダンジョン探索へ行きやすいなど理想のワールドは数々あるだろう。しかしプレイヤーの誰もが脳裏に面影を抱きながら、これまで誰も到達できなかったまほろばがある。それは「タイトル画面の背景のワールド」である。ゲームを起動したときに表示されるボカシのかかった風景だ。2011年のベータ版バージョン1.8にて初登場し、バージョン1.13に至るまで数年間ゲームの顔を飾ってきた。誰もが知る景色でありながら、その地を踏んだ者はいない幻の土地。しかし先日、その世界に足を踏み入れるための鍵が明らかになったという。タイトル画面のワールドのシード値が判明したのだ。


シード値が発見されたのは7月18日、日本時間で14時45分のことだった。その数字とはすなわち「2151901553968352745」もしくは「8091867987493326313」。どちらの値を使ってもタイトル画面のワールドが生成されるという。バージョンは初登場時よりやや古いベータ版1.7.3で、映し出されているカメラアングルは座標 X=61.48、Y=75、Z=-68.73から徐々にパンしているという。

調査プロジェクトが始まった時期は6月14日に遡る。RedditユーザーのTomlacko氏は独自にリサーチを開始し、タイトル画面のワールドにて使用されているバージョンや座標などを特定していった。やがて明らかになったデータは、『マイクラ』系YouTuber・SalC1氏のDiscordにて共有される。そこでは類似のプロジェクトが進んでおり、すでに「pack.png画像のワールド」を調査していた。pack.pngとは、デフォルトのテクスチャパックのアイコンなどに使われている画像だ。

その後『マイクラ』調査研究を専門としたDiscordサーバー「Minecraft@Home」が立ち上げられると、事は迅速に運ばれた。BOINC(Berkeley Open Infrastructure for Network Computing)により、ボランティアユーザーのPCを使いながら分散して調査を進めることができるようになったという。タイトル画面研究のアプリケーションが出てから24時間以内にボランティアのひとりがタイトル画面のシード値を発見した。これは1秒間に5450京回計算した場合93日かかる処理時間を24時間に凝縮した成果といえる。
【UPDATE 2020/7/19 15:35】
BOINCの記述について修正

「Minecraft@Home」では現在もさまざまな調査が進行中だ。最近では『マイクラ』界に存在するもっとも巨大なサボテンを研究しており、現時点で22ブロックのものが最大とされている。デジタル考古学ともいえる彼ら・彼女らのリサーチは、今後も『マイクラ』にまつわるさまざまな秘密を明かしてくれそうだ。