『ファイナルファンタジーVII リメイク』の疑問と不安に北瀬氏・浜口氏が答える。なぜ分作?レッドXIIIはプレイアブルではないのか?

 

スクウェア・エニックスが4月10日に発売を控える『ファイナルファンタジーVII リメイク/FINAL FANTASY VII REMAKE(以下、FF7R)』。大きな期待が寄せられるなか、「複数作にわたる分割」や「レッドXIIIの非プレイアブル化」などに疑問・不安を抱えるファンも少なくない。リメイクにあたり数々の大きな決断はいかにして下されたのか。プロデューサー・北瀬佳範氏と共同ディレクター・浜口直樹氏が、スクウェア・エニックスの運営する海外向け公式WEBサイトのインタビューにて語った。

『ファイナルファンタジーVII(以下、FF7)』のリメイクは複数作にわたり分割されることがすでに伝えられており、『FF7R』は序盤の山場である「ミッドガル脱出」までを描いた第1部となる。物語を分割することについて改めて問われると、北瀬氏はまずプロジェクト最初期の議論について語った。はじめに注意深く検討されたのは、「『FF7R』が『FF7』であると認識されるために、オリジナル版から絶対に引き継がなくてはならない要素は何か」ということだった。チームが結論を出すのに要する時間はそれほどかからなかったという。すなわち「切り落とせばファンの意に反するような不可欠の要素が、オリジナル版にはあまりにも多すぎる」という答えである。

そこでチームは開発初期にあたり、2つの選択を迫られることとなった。1つは、グラフィックのレベルを極限まで高めつつ、なおかつファンが見たがるものすべてを余さず取り込むこと。しかしこれはプロジェクトをオリジナル版よりはるかに膨大なサイズに増長させることでもあった。もう1つの選択肢は、あくまで1本のゲームとしてリメイクを収めること。このためにはビジュアルのレベルを多少落とし、同時にいくつかのエリアやシーンをカットする必要があった。単発の作品としてリリースするためには、オリジナル版のストーリーをダイジェストとして編集せざるをえなかったのである。

それではファンは喜ばないだろう、と開発陣は判断。結局のところはグラフィックを最大限のレベルまで引き上げつつ、拡張したストーリーを描き出す道がベストとして選ばれた。ゲームを複数に分割すると決定してからは、オリジナル版に含まれる要素をすべてキープしつつ、ディティールやストーリーの深みをさらに究めることに集中できたそうだ。チームは『FF7』の象徴である都市ミッドガルを魅力的に描くことに特に注力しており、オリジナル版では見られなかったエリアごとのシームレスなつながりや、そこに住まう人々の生き生きとしたコミュニティや文化がいっそう精彩に描かれているという。

オリジナル版のエッセンスを維持しつつ、さらなる深みを追求する『FF7R』。一方で、原作に強い愛着をもつファンが不安を覚える変更も少なくない。特に疑問の声が上がっているのは主要キャラクターの1人(匹)である4つ脚の獣、レッドXIIIの扱いだ。リメイク第1部となる本作において、彼はプレイアブルキャラクターとならないことがすでに報じられている。このことを問われると、浜口氏はヨーロッパで各メディアに対応しているときも同様の質問を多数受け、改めてファンの反応の大きさに驚かされたことを伝えた。レッドXIIIをプレイアブルキャラクターから外した真意としては、オリジナル版における彼の加入タイミングが第1部の終盤にあたることを理由として挙げている。かなり後半になって登場することから、パーティに加えてもRPGのキャラクターとして成長させるには時間が足りないと判断。本作ではゲストキャラクターとして参戦させることを決めたそうだ。実際のゲーム中では、プレイヤーが操作する他のキャラクターとともにオートで戦闘に加わってくれるという。

ただし彼の不参加を惜しむ声はしっかり届いているようだ。浜口氏は、ファンが感じているのと同様に開発陣もレッドXIIIを重要なキャラクターとして認識していると説明。そのうえで、バトル中に操作できるのとは別の手段で彼を引き立てるゲームデザインをしていると明かした。具体的にどのような試みがなされているかはまだ伝えられないものの、ヒントとして浜口氏は物語の山場である神羅ビルのリメイクについて触れている。オリジナル版では1~3階と59~70階しか立ち入ることができなかったステージだが、『FF7R』では原作になかった新たな上層フロアが加えられているという。その新規階層を攻略する鍵となるのがまさしくレッドXIIIになると浜口氏は示唆。フロアの障害を突破するためにレッドXIII特有の身体能力が発揮されるとのことだ。神羅ビルでクライマックスを描くにあたり、彼の新たな活躍ぶりがファンを喜ばせるだろうとのことである。

また隠しボスなどのエンドゲーム・コンテンツについて訊かれた際も浜口氏は自信を見せた。「どのくらい」用意されているかはまだ明かせないものの、『FF7R』はスタンドアローンゲームと同様のボリュームで開発が進められているという。すなわち『ファイナルファンタジー』シリーズの完全新作と同様のコンテンツ量を内包しているということだ。正確に何が盛り込まれているかは明言を避けつつ、「もしエンドゲーム・コンテンツを期待しているなら、落胆するようなことはありません」と強調した。

多くのファンから期待と不安を背負い、いよいよ発売を目前に控える『FF7R』。すでに体験版は、PlayStation Storeにて無料配信中だ。PlayStation 4向け製品版は4月10日にリリースを予定している。