ゲーマーが求める実績・トロフィーとは何か?インディー開発者がコミュニティから学んだ「良い実績・悪い実績」の例を共有

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ゲームプレイの進捗や目標達成によって解除・獲得できる実績・トロフィー。Xbox 360での導入を皮切りに、今ではPS4やXbox One、Steam、モバイルと幅広いプラットフォームに実装されている。プレイヤーとしては、ゲームを進める上での目標になったり、達成感を得られる機能であり、やり込み要素のように実績・トロフィーを得ることが目的化している人もいるかもしれない。

一方で開発者側からすると、実績・トロフィーは基本的にゲームに実装するよう「義務付けられている」機能のひとつ。ゲームそのものとは関係ないものの、どのような条件で解除・獲得できるようにするのか考えなければならない。どう設定しようが基本的に自由ではあるが、せっかくならゲーマーに喜ばれるもの、もしくはゲームを遊ぶ動機づけになるものにしたいところだろう。そこで、インディースタジオTribe Gamesの代表Charles McGregor氏は1月31日、コミュニティから学んだ知見をXbox Wireにて共有している。

McGregor氏は、PC/Xbox One向けの新作『HyperDot』の実績を考えるにあたって、マイクロソフトの自主販売サポートプログラムID@XboxのDiscordサーバーにて、どのような実績が好まれるのか、あるいは好まれないのかをインディー開発者や一般のゲーマーに質問。その結果から3つの“良い実績”と、2つの“悪い実績”の例を導き出している。

 

良い実績例

良い実績としてまず挙げられたのは、「ゲームを進める中で徐々に解除されていく」もの。たとえば「チャプター1をクリア」や「敵を?体倒す」といった、ゲームの進捗によって自ずと解除される実績だ。また、特定の装備でステージをクリアすると解除されるような実績も、ここに含まれるとしている。

「特定の要素にプレイヤーを導く」実績も、設定次第では良いとのこと。McGregor氏は、『HyperDot』に実装したレベルエディターの開発に多くの時間をかけたため、ステージ制作に関心のないプレイヤーにも触ってみてほしいと考えていたそうだ。これに対してコミュニティは、実績の存在によって導かれ、それまで興味のなかったものを体験する機会を得るのは「あり」だとアドバイス。ただし、作業感のある面倒な解除条件に設定すると逆効果とのこと。

また、これはXboxに限った例だが「ゲーマースコアの一の位は0か5」の実績がコミュニティから好まれている。ゲーマースコアとは、各実績に設定されているスコアのことで、解除するたびにアカウントに貯まっていく。総ゲーマースコアが特定の大台にピッタリ到達すると記念になるため、そのためにはキリの良い数字が良いのだろう。

 

悪い実績例

一方、悪い実績として挙げられたのは、まずは「やたら長時間のゲームプレイを求める」もの。たとえば5時間でクリアできる内容のゲームに、解除するまでに50時間かかるような実績のことである。ただ、多少であれば作業の必要な実績であっても受け入れられており、その場合は進捗を確認できるシステムを実装すべきととも語っている。

もうひとつは、「解除条件がさっぱり分からない」秘密の実績だ。おそらくこれは、シナリオなどの関係で秘密にせざるを得ないものではなく、開発者の遊びなどで秘密にしている実績を指すのだろう。実績の説明文には解除条件が書かれているが、秘密の実績に関しては伏せられており、条件を満たし解除して初めて公開される。コミュニティからは、秘密の実績はネタバレ要素であったり、ゲームを進める中で見逃すことのないコンテンツに限定して設定してほしいとの意見があったそうだ。また通常の実績に関しても、解除条件がちゃんと分かる説明文にするべきとも。

https://www.youtube.com/watch?v=tojfq61zRts

*Charles McGregor氏が手がけた『HyperDot』は、SteamとXbox One向けに国内販売中。実績にはコミュニティの意見を反映させた。

実績の設定に関してはGDC 2013でも取り上げられており、『Gears of War』シリーズなどを手掛けるRod Fergusson氏の講演では、今回挙げられた「特定の要素にプレイヤーを導く」ことは、同じく実績の良い側面であると紹介。一方で、解除条件によってはゲーム体験にネガティブな影響を与える場合があるとしている。たとえばマルチプレイ実績の場合、それを解除したいがためにほかのプレイヤーに迷惑をかけてしまう可能性がある。

また実績解除においては、すべてのプレイヤーが必ず一定の成功体験を得られるデザインにすべきと提唱。そのほか開発者としては、プレイヤーの実績解除状況を見ることで、どれだけの人がクリアしたのかや、どのゲームモードが好まれているのかなどの分析にも利用できるとしている。

今回はXbox Oneにおける実績のデザインについての話題だったが、基本的な仕組みはPS4のトロフィーやSteamの実績なども同じであるため、どの開発者にとっても参考になるのではないだろうか。簡単に解除できる実績が好まれているようにも見えるかもしれないが、ID@Xboxコミュニティでは達成感のある実績を重視する意見も多い。実績・トロフィーに対する好みはプレイヤーによって異なり、またゲームジャンルによっても事情が変わってくるだろうが、ゲーム体験を阻害しない配慮と、プレイヤーを楽しませるデザインが求められていると言えそうだ。

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国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。