『オーバーウォッチ』『CoD』などのeスポーツ大会、YouTube独占ライブ配信化。Activision BlizzardとGoogleが提携

 

Activision BlizzardとGoogleは1月24日、複数年の戦略的パートナーシップを締結したと発表した。まずActivision Blizzardタイトルのホスティングインフラのプロバイダーとして、Google Cloudを優先活用。そして同社タイトルのeスポーツリーグおよびイベントの公式ライブ配信を、YouTubeにて独占的におこなうという(中国以外)。独占配信の対象コンテンツとしては、Overwatch League、Call of Duty League、Hearthstone Esportsがあげられている。

Activision Blizzardは同社タイトルにてGoogle Cloudを採用する利点として、ゲームインフラの強化、低遅延・低パケットロス化によるプレイヤー体験の向上。さらにGoogle CloudのAIツール活用により、ゲーム内広告をプレイヤーにあわせてキュレーション表示できることをあげている。Activision Blizzardのモバイルタイトルにおいては、すでに数年前からGoogle Cloudが利用されており、今回の戦略的提携によって、モバイルタイトルを超えて企業間の関係性が深められていく。

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eスポーツコンテンツのYouTube独占ライブ配信に関しては、1月24日に開幕したCall of Duty Leagueや、2月8日に開幕するOverwatch League 2020シーズンにて早速スタート。各リーグの公式YouTubeチャンネルにて独占配信される。これらのリーグは、シーズン開幕を間近にしながら、ライブ配信先のプラットフォームを発表していなかった。その理由が今回の提携発表により明かされた形となる。

なおOverwatch Leagueの配信に関しては、2018年以降Activision BlizzardはTwitchと契約を結んでいたと報じられている(Sports Business Journal)。2018年当時の報道によると、Twitchとの契約額は2年間で推定9000万ドル(約100億円)。今回は会社単位での独占配信契約ということで、さらに大きな額が動いたと考えられるだろう。

YouTubeは今回の提携発表にあたり、同動画配信プラットフォームを利用するゲーマー数は2億以上、年間のコンテンツ視聴時間は500億時間と説明し、eスポーツのライブ配信プラットフォームとしてのポテンシャルの高さを示した。ただライブ配信分野に絞ってデータを見ると、TwitchがYouTubeおよび他サービスを圧倒している状態に変わりはない。ライブ配信時間についてはTwitchがトップを走り、YouTube、Facebook Gaming、Mixerが後に続く構図が続いている(StreamElements)。そのうちマーケットシェアをもっとも伸ばしているのはYouTubeではなくFacebook Gamingである。

2019年にはYouTube、Mixer、Facebook Gamingが著名ストリーマーと独占配信契約を結ぶことで流入増を図る傾向が見られた。今月に入ってからもYouTubeは、Rachell “Valkyrae” Hofstetter氏、Elliott “Muselk” Watkins氏、Lannan “LazarBeam” Eacott氏と独占契約を結んでいる。そしてこのたびストリーマーとの個別契約にとどまらず、eスポーツ大会に関する企業規模での独占配信契約を結んだことで、ライブ配信プラットフォームとしてのYouTubeの存在感が高まると期待できそうだ。あくまでもOverwatch LeagueやCall of Duty Leagueの盛り上がり次第という側面もあり、今後どこまでYouTubeがマーケットシェアを伸ばしていけるのか、推移に注目したい。