『あつまれ どうぶつの森』にメキシコ衣装が登場することが話題に。任天堂が再び直面する”あのメキシコ文化”

Image Credit : Ramón ??@MapacheRants / Nintendo

任天堂ラテンアメリカは12月4日、ラテンアメリカユーザー・プレス向けの年末発表イベントを実施した。その中で『あつまれ どうぶつの森』にメキシコ衣装が登場することが明かされ、話題を呼んでいる。

『あつまれ どうぶつの森』は、Nintendo Switch向けに発売されるシリーズ最新作。無人島を舞台に、穏やかなスローライフをおくる。素材を加工するクラフト要素が本格導入され、島全体を自分好みにアレンジしていく。ビジュアルも向上するほか、最大8人までのマルチプレイに対応するなど、大きく進化を遂げている。2020年3月に発売日をセットし開発されている最新作では、メキシコ風の衣装が登場するという。

なぜメキシコ衣装の登場が注目を集めているのかというと、『スーパーマリオ オデッセイ』発売前、同作にて登場するメキシコ衣装に似たコスチュームが議論されたという背景があるからだ。『スーパーマリオ オデッセイ』は、さまざまなテーマの国を渡っていく形式がとられており、国や国に登場するアイテムは現実世界の文化もモチーフにされている。「砂漠の国 アッチーニャ」では、伝統の民族衣装を購入可能。この伝統の民族衣装は、率直にいってしまえばポンチョとソンブレロで、メキシコ文化から影響を受けているとされている。しかしながら、メキシコ文化を表すものがポンチョとソンブレロであるものはステレオタイプで、「マリオ」のような人気タイトルで、そういったステレオタイプな誤解を招く表現は控えるべきではないかとの議論が生まれていた。

Image Credit : Sweety High / Nintendo

Ubisoft MontrealやBethesda Game StudiosでUIデザインを担当する開発者が「こういうステレオタイプなものがもう少し減ってくれるともっと嬉しいなあ」とTwitterでつぶやいたことをきっかけに(投稿はのちに削除)、マリオがポンチョとソンブレロを着ることについて、賛成派と反対派が意見を交わしていた。スペイン語系メディアのNintenderosでは、スペイン語で120以上のコメントが投じられており、ステレオタイプであることについて否定的な意見も多い。一方で、ステレオタイプではあるが、そのことが悪いとは思わない。「マリオ」に登場すること自体が嬉しいと、ポジティブな意見を表するユーザーの意見もTwitterやRedditでは寄せられていた。

そもそも、ゲーム内に出てくる衣装は”ポンチョとソンブレロ風アイテム”であり、メキシコに関してもはっきりと言及されて描写されたわけではないので、結論が出ない議論ではある。しかしながら、最終的に発売前にパッケージに映ったポンチョとソンブレロを着たマリオの姿が、製品版では消えたと報じられている。前述の議論の影響によるものなのかは不明であるが、メキシコ文化の扱いの難しさを確認した一件であった。

パッケージデザイン。左が変更前、右が変更後とされている。 Image Credit : Imgur

それゆえに、『あつまれ どうぶつの森』のメキシコ衣装の登場に注目が集まっているわけだ。現時点で確認できるスクリーンショットは少ないが、公開された画像では、ポンチョやソンブレロを着ておらず、プレイヤーは涼しげなシャツや伝統的なロングスカートを着用している。『あつまれ どうぶつの森』は、シリーズで初めてラテンアメリカ・スペイン語にローカライズされるタイトルであるという。そういった事情で、ラテンアメリカの一部であるメキシコの衣装が登場するのだろう。

Image Credit : Ramón ??@MapacheRants / Nintendo
Image Credit : Ramón ??@MapacheRants / Nintendo

前回の『スーパーマリオ オデッセイ』の騒動を受けて、「メキシコ人だが、これは好きだ」とポジティブなフィードバックを寄せる意見が、Twitterでは散見される。第一印象としては、良い感触を得ているようだ。ポンチョやソンブレロが登場したとしても、それがあくまで衣装のひとつならば、より受け入れらやすくなるだろう。

メキシコ衣装が登場するということは、他国の文化に基づいた衣装が実装されることも期待できる。『どうぶつの森』シリーズは、家具やアパレルの種類の豊富さも特徴のひとつ。さまざまな文化のアイテムが登場すれば、自分の島がより華やかになっていきそうだ。『あつまれ どうぶつの森』は、Nintendo Switch向けに2020年3月20日に発売予定だ。