『デス・ストランディング』のノミネートを受けて、癒着関係による不正の可能性を指摘されたThe Game Awards主催者が反論


来月12月12日に米国ロサンゼルスで開催されるゲームの祭典「The Game Awards 2019」。先週には各部門のノミネート作品が発表され、目玉となるゲーム・オブ・ザ・イヤー(以下、GOTY)部門では『デス・ストランディング』『バイオハザード RE:2』『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』と4つの国内タイトルがノミネートされた(『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIALは2018年12月発売だが、The Game Awardsの選考期間としては2019年分として扱われる)。『デス・ストランディング』に至っては、最多8部門9ノミネート(パフォーマンス部門でNorman ReedusとMads Mikkelsenの2人がノミネート)と勢いに乗っている(関連記事)。

そんなThe Game Awardsの顔とも言えるのが、同イベントをプロデュースし、自ら司会を務めるGeoff Keighley氏。近年はThe Game Awardsに限らず、gamescomのオープニングイベントやE3 Coliseumをプロデュースしたりと、ゲームイベントのプロデューサー・司会者として広く活躍している。今年のThe Game Awardsで最多ノミネートを獲得した『デス・ストランディング』の小島秀夫氏とは親交があり、両者はこれまでに数々のインタビューをこなしてきた。過去のThe Game Awardsでは『デス・ストランディング』の新トレイラーが披露され、同作品内でKeighley氏は「ルーデンス・マニア」というキャラクターでカメオ出演している。

海外メディアKotakuは、そうした小島秀夫氏とGeoff Keighley氏の関係性と、The Game Awardsでのノミネートは関連しているのではないかと疑問を呈している。Kotakuは、The Game Awardsは授賞式であると同時に、最新作のトレイラーや情報を公開するプロモーションの場でもあり、利益相反行為の温床であると指摘。さらに他の賞とは違い、The Game AwardsはKeighley氏という一人の人間が顔となり、プロデュース・司会を担当している。そんなKeighley氏と小島氏の関係は、視聴者によるノミネート・受賞作品の捉え方に影響するだろうというのが、Kotakuの主張である。

利益相反行為の疑いについてKeighley氏はKotakuに対し、反論のコメントを寄せている。「選考プロセスを明確にするFAQリンクを公式サイトの一番上に設置している理由はそれです。私自身がノミネートおよび受賞作品の投票に参加しない理由でもあります。イベントのプロデューサーという立場上、ゲームパブリッシャーやデベロッパーとさまざまな分野において密に関わることになりますので、賞の審査は、広い視野を持って批評的な評価を下せる報道各社に委ねております」。

*Twitter上でも、自身は投票プロセスに関わっていないと説明している

The Game Awardsのノミネート作品は、2019年11月15日までに発売された作品の中から、世界各国のメディアおよびインフルエンサー(合計80団体)の投票により選出される。作品のエントリー費用は無く、対象期間内に発売されたゲームは全て候補となる(各審査団体には、イベントのスポンサーや、イベントプログラム参加者は伏せられている)。そして各部門の受賞作品は、その80団体の投票(90%)と一般コミュニティ投票(10%)の合計により決定する(コミュニティ投票は公式サイトより受付中)。

Keighley氏は、利益相反の疑いを受ける可能性があることをあらかじめ想定しており、公式サイト上に選考プロセスをわかりやすく掲載している。Kotakuとしても、FAQが掲載されていることは把握しているはず。つまりFAQに掲載されていること自体は、Kotakuとしてはさして重要ではないのだろう。実際、Keighley氏のコメントを踏まえた上でも、癒着関係があるように見えることに変わりはないとKotakuは結論付けている。The Game Awardsが影響力を高めてきたのはKeighley氏の功績によるところが大きく、Keighley氏なくして今のThe Game Awardsはないと思われる。一方、Keighley氏一人がイベントの顔となっている以上、こうした懸念が完全になくなることはないだろう。