『フォートナイト』人気実況者Ninjaは、なぜTwitchからMixerに移籍したのか。マネジャーでもある妻がその理由を明かす

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今年8月、ゲーム実況配信者のNinjaことTyler Belvins氏が、活動の舞台をTwitchからMixerに移した。その時点でのTwitchにおけるフォロワー数は1470万人で世界最多。主に『フォートナイト』をプレイし、2018年には約10億円を稼ぎ出したと言われる、トップ中のトップストリーマーの移籍は大きな話題となった(関連記事)。

Mixerは、マイクロソフトが保有するストリーミングプラットフォーム。Ninja氏の移籍にあたっては、少なくとも3年の契約で約6〜8億円がマイクロソフトから支払われたのではないかと、人気TwitchストリーマーのForsen氏が推計していた。具体的な金額はともかく、Ninja氏にMixerにて独占配信してもらうためには、それなりのお金が動いたことは想像に難くない。ただ、Ninja氏の妻でありマネジャーを務めるJessica Blevins氏は、お金について考えたのは一番最後のことであり大きな理由ではなかったと、海外メディアBusiness Insiderに移籍の背景を語っている。

Ninja氏は2018年の大みそかに、ニューヨークのタイムズ・スクエアにて12時間の配信イベントを実施。そして、次なる大きな一歩を踏み出すにあたって、Twitchと何か月にもわたり協議していた。しかしJessica氏いわく、Twitchからの提案にはNinja氏らの要望が反映されることは一切なく、話を聞いてもらえていないと感じていたという。その要望に関するもののひとつに、Ninjaブランドの拡大を挙げている。

たとえばPC周辺機器メーカーのNZXTは、Ninjaロゴの入ったオリジナルPCケースを販売している。Ninja氏らは、そうしたライセンス事業の拡大に取り組んでおり、もしTwitchから提案された新たな契約を結ぶと、すでに契約しているスポンサーと対立することになってしまう状態だったそうだ。そのためTwitchからの提案は、最初から要領を得ないものだったとしている。

ちなみに、Ninja氏はMixerに移籍した直後に、eスポーツ分野への進出を始めているアディダスと新たにパートナーシップ契約を結んでいる。マイクロソフトはNinja氏の活動を受け入れたようだ。Jessica氏は、こうしたコラボをファンは気に入ってくれるかは分からないが、コミュニティのことは第一に考えており、皆がハッピーになるよう正しい選択をするとしている。

Jessica氏は、移籍を決断するにあたってはNinja氏の幸せについても熟慮したと述べる。Ninja氏がTwitchで配信している際のチャットルームは、日増しに酷いコメントで溢れるようになっていた。Twitchでの最後の数か月は、Ninja氏は以前のように勝利に興奮することはなくなり、配信へのモチベーションも下がっていたそうで、自身を見失っていたように見えたとJessica氏は語っている。

Twitchでは、モデレーターがコメント欄を管理することがあるほか、AutoMod機能により過激なコメントや任意のワードをフィルタリングすることも可能。しかし、随一の視聴者数を誇るNinja氏の配信のコメント欄では十分に機能していなかったのかもしれない。多くのフォロワーを抱えると、心ないコメントをする人も中にはいるだろう。Ninja氏は気に留めないようにしていたであろうが、何年も配信を続ける中で、最終的には周囲が気にかけるような状態に陥ったようだ。

そうした背景もあり、Mixerへの移籍についてのマイクロソフトとの契約は、わずか数週間でまとまったという。Ninja氏らは、マイクロソフトからのサポートや、温かくフレンドリーな環境に満足しているそうだ。そして、Mixerにて実況配信を始めたNinja氏の様子についてJessica氏は、これまでとはうって変わりまた情熱を取り戻したようで、妻としても本当に幸せだと述べる。

ゲーム業界において絶大な影響力を持つNinja氏に、自らのプラットフォームにて独占配信してもらうということは、マイクロソフトにとって大きな利益に繋がるはずで、そのための投資は惜しまなかったことだろう。ファーストパーティスタジオの拡大を進める同社は、今後発表予定の作品をすでにNinja氏に披露しているとのこと。ただ、お金よりも重視していることがあったNinja氏らにとっては、十分なバックアップ体制を用意してくれたことが移籍の大きな決め手になったようだ。

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