『オーバーウォッチ』韓国にて、悪質プレイヤーのアカウント1万8000件以上が一斉にBAN。過去最大規模に


Blizzardは1月2日、韓国の『オーバーウォッチ』の悪質プレイヤーを一斉にBANし、公式フォーラムにて3ページにわたる該当者のリストを公開した。今回アカウント一時停止または停止処分を受けたアカウントの数は1万8188件にのぼり、3ページに分けて投稿されたのは公式フォーラムの文字数制限を2回超過してしまったからとのこと。韓国の公式フォーラムでは各シーズンが終了するたびにこのようなリストが公開されているが、これほどの数を記録することは極めて異例である。処罰理由は、アカウント共有、不適切な言動、故意的にゲームを敗北に導くなど、いわゆる規約違反や迷惑行為などに該当したことによるものだ。日本を含めた他地域のユーザーにとって、アカウント停止処分を受けたプレイヤー名が公開されることは異例のように思えるかもしれないが、韓国では一般的な措置である。

Blizzardは『オーバーウォッチ』のゲーム体験を向上させるべく、悪質プレイヤーに対しての処罰システムを改善し続けている。昨年1月にはプレイヤー報告機能が見直され、ユーザーが悪質であると判断したプレイヤーを報告することが容易になった。導入後、不適切な発言を含んだチャットのやり取りは昨年7月時点のアメリカで28.8パーセント、韓国で21.6パーセント減少しており、悪質行為を抑制するシステムとして大きな成果を上げたと言えるだろう。しかし今回過去最多のアカウント処罰が発生していることから、現在も悪質プレイヤーは一定数存在しているということになる。今回の大規模BANは、あらためて同社の取り締まる姿勢が見て取れる事例だろう。

eスポーツ大国として知られる韓国政府はこのような事態を深刻に捉えており、ついに昨年12月に改正案の考案に乗り出した。料金を支払いゲームのアカウントを育成したりランク向上を代行する、いわゆる”ブースト行為”を禁止する法律が可決されたのだ。最大2000万ウォン(200万円)以下の罰金、もしくは2年の懲役が科せられるとのことで、これから数ヵ月以内に施行される予定だ。政府も加わって問題の解決に努めれば、ゲーム会社のみで対処を行ってきたこれまでよりも確実に悪質プレイヤーを根絶できるかもしれない。

また『オーバーウォッチ』では、処罰対象となるプレイヤーを排除する取り組みだけに留まらず、善良なプレイヤーへの配慮として、任意のプレイヤーが自分のチームメイトとなることを拒否できる機能「Avoid as Teammate」も過去に実装されている(関連記事)。ゲーム内の簡単な操作によって2人までプレイヤーを登録でき、7日間の有効期間を過ぎると自動的にリストから削除される。悪質プレイヤーに対するBlizzardからのアカウント処罰の対応を待つことなく、即座に自分のプレイ環境から排除できる画期的な機能となっている。また、多数のプレイヤーから「Avoid as Teammate」に登録された場合、ログイン時に警告が表示される仕組みとなっている。悪質プレイヤーに対して自身の迷惑行為を自覚させ、改善させるという効果も期待できるだろう。

数多くのゲームタイトルでは、プレイヤーマナーの改善が常に重要課題として取り上げられ、さまざまな形での対策が進められている。善良なユーザーからすると非常に心苦しいことではあるのだが、フラストレーションがつきものな対人ゲームにおいて、悪質ユーザーの存在は切って離せないものとなっている。一時の感情で味方プレイヤーに怒りの矛先を向けたくなることもあるだろうが、画面越しにプレイヤーがいることを常に考え、マナーを守ってプレイしてほしいところだ。『オーバーウォッチ』では過去に、不適切な言動を常習的に繰り返していた悪質プレイヤーが、ある日のBlizzardサポートによる対応を境に自身の罪を認めて改心したという出来事もあった(関連記事)。