THQ Nordicが『Goat Simulator』のCoffee Stainと、『Wreckfest』のBugbearを買収。欧州ゲーム会社としてますます巨大化


THQ Nordicは本日11月14日、Coffee StainBugbear Entertainmentを買収したと発表した。Coffee StainについてはCoffee Stain Holdingおよびその子会社であるCoffee Stain Publishingの両方を獲得したとされている。

Coffee Stainは、スウェーデンに拠点を構えるスタジオで、かつて『Sanctum』シリーズや『Goat Simulator』を手がけており、最近ではGhost Ship Gamesを開発スタジオに迎え『Deep Rock Galactic』を発売。ほかにもオープンワールドFPSに狩りと工場ライン構築要素を混ぜるといった意欲的な新作『Satisfactory』の発売を控える、開発およびパブリッシングの両方を試みている実力派のスタジオである。同スタジオはパブリッシャーとしての拡大も進めており、小さなスタジオを買収することもあったが、 最終的にCoffee Stain自体が買収されることになった。買収額は、企業評価額3億1700万クローナ(約40億円)に、マイルストーン到達ごとのアーンアウトを加えた数字となる予定。

Bugbear Entertainmentはフィンランドを拠点としたスタジオ。はちゃめちゃなレースゲーム『FlatOut』シリーズを手がけているほか、今年にはTHQ Nordicとタッグを組み、カークラッシュを特徴としたこちらも破天荒なレースゲーム『Wreckfest』をSteamにて発売。Steamレビューが8000件以上集まっているように、THQ Nordicとして発売されたタイトルの中で、発売以来もっとも良いパフォーマンスを見せているという。THQ Nordic は、Bugbearのレースゲーム作りの能力を信じ、スタジオがうまく成長していくことをサポートするために、長期的に投資していくとしている。

THQ Nordicは、かつてはNordic Gamesとして事業を進めていたが、倒産した大手パブリッシャーTHQのブランドおよび特定のIPを買収することで、THQ Nordicに改名することを決断。THQ Nordicの設立者でCEOのLars Wingefors氏は、個人で投資会社も運営している資産家で、THQ Nordicも含めて多くの分野に投資をおこなっている。その豊富な資金力を背景に、これまでにたとえば『Darksiders』や『Red Faction』、『TimeSplitters』などの有力タイトルから、『Sine Mora』などインディーゲームの権利を次々に獲得。また、『セインツロウ』や『Metro』シリーズを発売するDeep Silverを傘下に持つKoch Media。そして、『BIOMUTANT』を手がけるExperiment 101を買収。さらには、『Kingdoms of Amalur』のIPを獲得するなど、大規模なIPやスタジオの獲得を進めており、近年例を見ないほど急激な成長を見せている。

Coffee StainおよびBugbearは大きな会社ではないものの、熱心なPCゲーマーならばいずれかの作品を遊んだことはあるだろう。根強いファンを抱える実力派スタジオを手にし、体制を大きく強化しつつあるTHQ Nordic。今は準備期間ということもあり、話題作は『Darksiders III』程度ではあるが、企業規模は欧州トップクラス。これから数年後には大型タイトルを多く発売し、欧州のゲーム会社として確固たる地位を築いていくかもしれない。